episode6 異世界の町
ギャングに加わった渡瀬伍長の粛清のために、
伊波中尉と俺は、
「よし、行こうか軍曹」
拳銃だけを持って町へ向かった。
パワードスーツを着装して町に入ることは、
「ランスロット殿との条約で禁止されていからな」
そして道中、
「それで渡瀬は誰を殺したのですか?」
歩きながら伊波中尉が、ランスロットに問う。
「ギャング同士の抗争だ」
その話によれば、
どうやら渡瀬伍長が殺害した相手は、
敵対するギャングの構成員のようだ。
「しかし市民も巻き込まれて一人が死んだ」
おそらく渡瀬伍長は拳銃を使い、その流れ弾が、
市民に当たったのだろう。
この話を聞いた伊波中尉は、
こう言葉を吐き捨てた。
「またく渡瀬は、なんて事を」
やがて町に到着すると、
そこは中世ヨーロッパのような町並みで、
「これが異世界の町か!」
と、俺は辺りを見回す。
人々の服装はタキシードやドレスだったが、
驚くことに、
動物の頭部を持つ人獣も多数いるのだ。
その後、用意された宿舎に着くと、
「これからは彼が、君たちの案内役を務める」
と、ランスロットが一人の男を連れてきた。
「密偵のトムマウスです」
その男は名乗り、彼は、
元々、ランスロットの弟子であったらしく、
今は密偵として働いているという。
「これは粛清だ。真正面から戦う必要はない」
そう発言する伊波中尉に対して、トムマウスは、
こう提案した。
「それなら、今夜にも闇討ちしましょう」
そして、その日の夜。伊波中尉と俺は、
トムマウスの案内で歓楽街へと向かう。
「奴の行動は完全に把握していますから」
と、トムマウスは暗い路地裏で言った。
「ここで渡瀬を待ち伏せしよう」
伊波中尉は夜の闇のなかで腰の拳銃を抜く。