episode52 迫撃戦の攻防
「アクトレス・キック!」
カオリの飛び回し蹴りが、
安室二等兵のパワードスーツに直撃した。
バヂッゴオオォォーンッ!
強烈な一撃はパワードスーツを粉砕にする。
「安室、大丈夫か!」
俺が駆け寄ると、気絶していた安室二等兵が、
「うッ、だ、大丈夫です」
と、目を開いた。だが、その時だ。
「カオリ、撤退するぞ」
将軍が声をかけた。
そして彼女は将軍を護衛しながら逃げ去る。
「起きれるか安室、ケガはないか?」
敵の消えた戦場で、
俺は安室二等兵を抱え起こした。
「パワードスーツがなければ、即死でした」
どうやら安室二等兵は無傷のようだが、
「これで小隊の生き残りは、俺と安室」
甲斐二等兵、隼都二等兵の、
合計四人になってしまった。それでも、
「今、将軍を追撃するしか、我軍に勝ち目はない」
と、ランスロットは部隊を再集結させる。
安室二等兵はパワードスーツを破壊されたが、
「軍曹、自分は騎兵隊に加わります」
負傷した騎兵の馬を譲り受けたようだ。
俺と甲斐一等兵、隼都二等兵は、
ランスロットの本隊を護衛することになった。
「軍曹、俺たちは死ぬまで、ここで戦うのですか」
「甲斐、俺たちはな、生き残るために戦うのだよ」
「そうですよ。我々は、戦闘の真っ最中ですしね」
その追撃戦の先陣を駆けるのは騎兵隊である。
「安室、気をつけろよ、無理はするな」
「ありがとうございます、甲斐さんも」
安室二等兵は拳銃と軍用ナイフだけを武器に、
一足早く、騎兵隊の一員として出発した。
「大丈夫かな、安室は」
と、同期入隊の隼都二等兵は心配していたが、
その後、伝令兵の報告によると、
「安室殿は将軍の親衛隊を相手に、獅子奮迅の」
活躍を見せたという。




