episode43 翔べ、抜刀隊
伊波中尉はシロクマの人獣ジャアを投げ、
そのまま軍用ナイフで、
グサリッ。
胸の急所を一突きして、止めを刺した。
だが俺たちパワードスーツ小隊は、
二名の隊員を失い、残りは6名。
「国王派の差別主義者を叩き殺せ!」
敵の200騎が走り回り、多勢に無勢。
戦況は不利なままだった。
しかし、その時だ。
「片っ端から叩き斬れ!」
と、ユーコが抜刀隊を率いて突入して来る。
相変わらず下着のような、
セクシーな衣装を着ていたユーコだが、
「とうりゃあ」
跳躍して騎兵に飛びかかり一刀両断にした。
そのユーコを狙い、敵の弓兵は、
「射れ、射殺せ」
矢の猛攻を加えた。
だがユーコは怯まず、弓兵の隊列に踊り込むと、
手当たり次第に叩き斬る。
「ぐあっ」
「あがっ」
「おごっ」
「はがっ」
血飛沫をあげて倒れる、敵兵。
その乱戦の中で40名程度の抜刀隊は奮戦した。
俺は機関銃を単発発射して、
パアァン。
至近距離の騎兵を狙って、撃った。
近くでは伊波中尉が、
槍を振り回す、キリンの人獣に襲われ、
「死ね、英雄気取りが」
「この首長野郎がッ!」
必死に軍用ナイフで応戦する。
パアァン、パアァン。パアァン。
そのキリンの人獣を、安達一等兵が撃ち殺し、
「小隊長、コレを」
と、井吹二等兵が、
予備の機関銃(元々は渡瀬伍長の銃)を、
伊波中尉に渡した。
「すまんな」
そう言いながら機関銃を受け取った伊波中尉は、
「この状況だと味方を撃ってしまう、退くぞ」
一旦、後方に小隊を下げた。だが、
そのタイミングで、
敵陣は騎兵の第二波を投入する。
「伊波中尉、このままでは抜刀隊が孤立しますよ」
「だが軍曹、小隊の6名の応援では数が足りない」




