episode42 白い巨獣のジャア
武蔵上等兵が大型ショットガンを放った。
ドガァン、ドガァン、ドガァン。
だが敵の弓兵隊は、
積み上げた土嚢に身を隠して散弾から逃れる。
「馬鹿か、あんな土嚢くらい」
と、武蔵上等兵が走ると、
「蹴り飛ばしてやりましょう!」
赤城二等兵が後に続いた。
敵の弓兵は矢を放って迎え撃ったのだが、
カンッ、カンカン、カンッ。
パワードスーツは矢を跳ね返す。しかし、
ドシャーン。
土嚢の手前に掘られた落とし穴に、
武蔵上等兵と赤城二等兵は落ちた。
「ヤバい、油がみたされいるぞ!」
武蔵上等兵が言ったと同時に、
火種が投げ込まれる。
ボボボオオォォォ。
大きな炎が燃え上がり、
二人が落とし穴から這い出てきたが、
バババーン、バババーン。
弾薬が引火して暴発する。
「い、伊波中尉、助けてください!」
赤城二等兵の叫び声が響き、
直後、二名は、その場に倒れた。
「あの炎ではパワードスーツでも焼け死ぬか」
と、伊波中尉が言葉を漏らす。
そこへ徒歩のシロクマの人獣が、
突進してきた。
「オリャーッ」
巨大な斧を振り下ろす。人獣。
「おのれっ」
伊波中尉は機関銃で受け止めたが、
ガヂンッ。
銃身が真っ二つに断ち切らた。
「な、何だと!」
驚愕しながらも伊波中尉は軍用ナイフを抜き、
シロクマの人獣と対峙する。
「オレは人獣最強の戦士シロクマのジャアだ」
そう名乗ったジャアが、今度は、
ブオンッ。
斧を水平に薙ぐ。
伊波中尉は真後ろに跳んで避けたが、
さらに一歩、ジャアは踏み込んできて、
「ソリャアーッ」
大上段に斧を振り上げた。
だが伊波中尉は逃げずに突っ込み、
「とりゃあ!」
組み付いて、足払いで投げる。




