episode4 熊の人獣ジャン
俺たちパワードスーツ小隊の13名は、
異世界の森のなかで野営生活を送っていた。
だが、ある日、ランスロットが、
野営地に姿を現して、
「あなた方に依頼がある」
と、言う。その依頼とは森の奥に棲んでいる、
「熊の人獣ジャンを退治してほしい」
という事だった。そのジャンは、
「最近、近隣の村に出没しては家畜を襲っている」
というのだ。ランスロットの話によると、
「幼い頃のジャンは町に住んでいたのだが」
成長すると乱暴な性質が抑えきれず、
「町なかでトラブルを起こしては」
暴れるようになった。
「それで人々から追放されたのだ」
その話を聞いた俺は、一つ疑問に思い、
「ジャンの親は、今、どうしているのですか?」
と、ランスロットに問うと、
彼は、こう答える。
「ジャンの両親は町の人々が処刑したよ」
この話の後、伊波中尉は小さく頷き、
「了解しました。我々の手で退治しましょう」
と、応じる。こうして俺たちは、
パワードスーツを着装して、森の中で、
ジャンを捜索した。そして夕暮れ時。
「あっ、あそこに居ましたよ!」
と、声をあげたのは、安達一等兵だ。
その指差す方向には、
木の陰から、こちらを見ている熊の人獣。
「身長は、2メートルを超えているな」
と、俺は思わず声を漏らした。
そして、次の瞬間、
「よし、撃て」
伊波中尉の命令で、
パワードスーツ小隊は機関銃を発砲した。
ババーン、バーン、ババーン、バババーン。
おそらく、銃という武器を、
知らないであろうジャンは、逃げることもなく、
「アガ、ウゴ、オゴォ」
呻きながら、全身に銃弾を浴びる。
「ギャコオォォ」
最期の断末魔をあげて、奴は、両目を見開き、
その場に倒れた。