episode38 暗殺者の夜
ヤマコンダの退治を終え、
城に戻った俺たちを出迎えたランスロットは、
老人に、
「これからも我々に協力してもらえませんか?」
と、打診したのだが、老人は首を横に振った。
「ヤマコンダ一匹、倒せない私は」
もう戦場では役にたたないと、
一人、東の大河に帰ってしまう。
「まあ仕方がないことだ。彼には彼の」
人生があると、ランスロットは諦めたようだ。
しかし、その翌日の朝。
ランスロットが屯所に飛んできて、
「昨夜、町でトムマウスが殺された」
と、言う。トムマウスはランスロットの密偵で、
「私の腹心の一人であるもあったのだ」
その話を聞いた伊波中尉は、
ランスロットに問う。
「それで犯人は判明しているのですか?」
「おそらく町に潜伏している人獣だろう」
ランスロットは、そう答えた。
町には将軍派に協力する者もいて、
暗殺を実行する人獣を匿っているらしい。
「先週はニコラ神父も暗殺されたのだよ、伊波殿」
ニコラ神父は人獣排斥派を代表する聖職者だ。
「これは緊急を要する事態ですね」
と、応じた伊波中尉の命令で、その夜、
俺たち8名の小隊員は、
パワードスーツを着装して町にでた。
「とりあえず義勇軍の集会所で待機しよう」
伊波中尉の言葉に従い、
小隊は集会所に向かったが、
「えっ、ここは酒場じゃないか」
と、俺は少々、驚く。すると安達一等兵が、
「義勇軍の連中は夜になると作戦会議と称して」
酒場に集まり飲み明かしているのだと、言う。
そして俺たち8人が酒場に入ると、
「おおっ、英雄さんたちが、お見えだぞ!」
などと歓声があがり、拍手が沸き起こった。
「ずいぶんと歓迎されているな」
伊波中尉は半分迷惑そうで半分嬉しそうな、
顔を見せる。




