episode34 東の大河
その伝説の魔物討伐士の居場所について、
ランスロットは、こう語った。
「彼は、今、隠者として東の大河に居る」
この異世界は城を中心に、北に森があり、
西に街道が通っていて、
南には平原が広がっている。
そして、東に大河が流れていた。
「それなら、早速、そこへ行こう」
と、俺は腰のホルスターに拳銃を突っ込んだ。
それを見た伊波中尉が声をかけてくる。
「パワードスーツは着装しなくていいのか?」
「バッテリーの節約のために空身でいきます」
と、俺は返答し、女性魔物討伐士のユーコと、
東の大河へと向かったのだが、その道中、
「大河には大勢の魔物がいるから気を付けて」
そう言ってユーコは、俺に注意を喚起する。
「それならパワードスーツを着装すれば良かった」
俺は少々、後悔しながらも目的地に到着すると、
そこには広大な大河が流れていた。
「この辺りには人は住んでいないのかい?」
俺の問にユーコは、こう答えた。
「河は、しょっちゅう氾濫して洪水になるのよ」
それに、この辺りには、
大量の河童が生息しているという。
「えっ、河童?」
「ほら、来たよ」
ユーコは剣を抜き、その視線の先の河からは、
緑色の魔物がゾロゾロと上がってくる。
かなりの数だ。
「コイツらは小柄だけど手強いよ」
大きさは人間の子供くらいか。
「キキキーッ!」
奇声をあげた河童が、一斉に飛びかかって来た。
「ヤバい、拳銃の弾は17発しかない」
俺は軍用ナイフを抜いて応戦したが、
河童は見た目より、腕力が強く、
ドシャリ。
地面に引き倒され、ナイフを奪い取られる。
「クソッたれが」
すぐさま拳銃を抜き、倒れた姿勢のまま、
バァン、バンァ、バァン。
河童の頭を撃ち抜いた。




