episode18 戦争の残虐さ
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国王の晩餐会は豪華な料理と、
美女に囲まれた夢のような宴であった。
だが俺は、
「人獣排斥派を取り込んだ国王の正体が」
オオワシの人獣であるという事実は、
極秘事項であるとしても、
「国王派の破綻の原因になるな」
と、危惧した。
俺と同様に大和上等兵も不安を抱いたらしく、
「今から将軍派に寝返るのは、どうでしょうか?」
と、晩餐会の帰り道に、
小声で伊波中尉に進言している。
だが、伊波中尉は今さら寝返っても、
「以後、将軍は我々を本心から信用しないだろう」
そう言ったが、
「俺も判断を誤ったのかもしれんな」
と、弱気な態度も見せる。そして言葉を続けた。
「問題はパワードスーツのバッテリーや弾薬だな」
当然のことだが、それらには限りがあり、
いずれは尽きる。
「丸腰になれば、我々は無力になるだろう」
その無力な我々が、
「その時、どうやって生きていくかが重要だ」
それは、そうだと思うが、俺は、
「どの道、勝組にいなければ処刑される運命だな」
と、小声で呟く。
そして、その翌日のことだが町の広場では、
一般市民の手により、
大勢の人獣が処刑されていた。
「この人獣は、皆、将軍派の幹部ですか?」
俺はランスロットに質問するが、
彼は、こう答える。
「いや、その殆どは、内戦とは無関係な人獣だ」
磔にされ、火炙りにされる人獣は、
女性や子供もいた。
「これは、あまりにも酷すぎますよ」
俺も元の世界では、
数々の戦場を経験した軍人だ。それでも、
この残虐な行為には目を背けた。
「彼らを止めることは、できないのですか?」
「無理だ。今は憎しみの連鎖が起こっている」
これが戦争の悲惨さだ。
そのことは俺も、よく分かっている。




