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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

チートな少年侍が妖怪大軍団に大立ち回りを繰り広げる話

頭頂部で高くまとめた黒髪が風にさらさらと揺れる。漆黒の袴姿とは対照的に少年の肌は雪のように白い。猫目で大勢の敵を見据える。洋の東西を問わずに終結した妖怪大軍団を前に少年、川村猫衛門かわむらねこえもんは嘆息して問いかけた。


「お主らは、そこまでして拙者を葬り去りたいでござるか」


すると大勢の中からひとりの声がした。


「当たり前だろ。お前にどれほどの同胞が倒されたか……」

「それは、あの者共が悪事を働いたから成敗しただけでござる。人間に危害を加えぬというのであれば拙者がお主らと敵対する理由はないでござるからな」

「うるせぇ! 仲間の仇……そしてお前さえ消えればこの世は俺たちの思い通りになるんだ!」

「みんな、奴はひとりだ。やっちまえ!」


圧倒的な数が妖怪たちに勇気を与え、一斉に突撃してくるが川村は動じない。

ゆっくりと黒い鞘に触れて抜刀。彼の愛刃、斬心刀ざんしんとうだ。一見すると普通の日本刃だが、どんなものでも――心さえも切断してしまう切れ味を持つことからその名で呼ばれている。突進してきた大入道を相手に川村は剣技を披露する。


「斬心刀・華麗米カレーライスり!」


一瞬にして米の字に斬られ消滅する大入道。

ろくろ首が首を伸ばして攻撃を仕掛けるがスパスパと川村は首を細切れにして倒す。

赤に青に黄色と色とりどりなドラゴンが上空から火炎を噴いてくるが、川村はニッと笑って全ての炎を刀で切断してしまう。噴いた先から二手に分かれてしまうのだ。

軽く地面を蹴って跳躍するとドラゴンを容赦なく一刀両断にして絶命させる。

今度は大空からマントを翻して吸血鬼たちが蝙蝠と共に強襲してくるが、川村は小型の蝙蝠たちを次々に斬り倒し、吸血鬼の首を刎ね飛ばし、心臓を貫く。

大鬼が振るってくるトゲ付きの棍棒を草履をはいた足で受け止めて威力を軽減させ、身を翻して着地。軽く息を整えてから柄を持つ両手に力を込める。

赤鬼の屈強な胴を容易く切断し、返す刀で青鬼にも太刀を浴びせる。

カラス天狗が団扇を振るって強風で攻撃を仕掛けてくると、川村は歯を食いしばる。

大きく振りかぶって空に刀を振るうと巨大な斬撃が放たれ、真っすぐカラス天狗へと向かっていき、驚愕に染まる彼を縦に切断した。

汗を拭って川村は微笑した。極限の戦場には似つかわしくない表情だ。

彼の両側頭部に生えた猫耳がピクリと軽く動く、まだ敵はいる。


「お主ら、もういい加減に諦めて闇の世界で暮らすでござるよ。拙者は無駄な殺生は避けたいでござるからな。妖怪といえども命は命。大切にするでござるよ」

「テメェどこまで舐めるつもりだァ!」

「斬心刀・旋風せんぷうり!」


まるで竜巻のように超高速で斬撃を放って広範囲の敵を一網打尽にした川村は、無音と化した廃墟を一瞥して愛刃を鞘に戻した。

今日だけで何百という妖怪を消滅させた。

これでしばらくは人間の世は安心だと思いながら一抹の寂しさを覚える川村であった。


おしまい。

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