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まさかの糸口

エンジン稼働中しかネットに繋がらない――その厳しい現実に、達也はひとまず元の世界への感傷を振り払った。感傷に浸っている間にも、貴重なガソリンは消費されていく。今、最優先すべきは、この異世界で生き延びるための情報収集だ。


(まずは燃料問題だ。これが解決しないことには、どこへも行けないし、このネット接続だって使えなくなる)


達也はノートパソコンの検索窓に、様々なキーワードを打ち込み始めた。「ガソリン 代替」「自作燃料」「エンジン 改造 不要 燃料」…。表示されるのは、専門的な知識が必要そうなものや、現実的とは思えない情報ばかりだ。バイオディーゼル、木炭ガス発生装置…どれも今の達也に実現できるとは思えない。


(やっぱり無理か…? この世界のどこかに、ガソリンスタンドみたいな場所があればいいんだが…)


諦めかけたその時、検索結果の隅に、古いキャンプフォーラムのスレッドのようなものを見つけた。タイトルは「【緊急時】車のガス欠! コレで乗り切った!」。


「なんだこれ…?」


半信半疑でクリックしてみると、そこにはあるユーザーの体験談が書かれていた。山奥でガス欠になり、手持ちのキャンプ用具の中にあったホワイトガソリン(液体燃料式ストーブやランタンに使う、精製された石油系燃料)を、ダメ元で少量だけ車のタンクに入れてみたところ、なんとかエンジンがかかり、最寄りのガソリンスタンドまでたどり着けた、という内容だった。


スレッド内では「エンジンに悪い」「危険だ」「絶対に真似するな」という意見が大半を占めていたが、その書き込み主は「車種やエンジンによるかもしれないが、俺のは大丈夫だった。あくまで自己責任で」と締めくくっていた。


(ホワイトガソリン…! キャンプ用の、あれか!)


達也の目に、わずかな光が宿った。もちろん、推奨される方法ではないし、自分の軽キャンパーのエンジンに合う保証もない。だが、藁にもすがる思いだった。


(あれなら…もしかしたら、通販で…!)


達也はすぐに意識を異世界通販のサイトに切り替え、検索窓に「ホワイトガソリン」と打ち込んだ。


すると、驚くべきことに、いくつかの商品がヒットした。元の世界で売られているものと全く同じブランドの缶もあるし、異世界の言語(達也には自動翻訳されて表示される)で書かれたラベルの、似たような燃料らしきものもある。


『高品質ストーブ用燃料(白ガス)』: 【説明】高純度に精製された液体燃料。安定した燃焼。内容量:4リットル。価格:8,000円

『赤竜印 ランタンオイル(業務用)』: 【説明】魔石ランタンにも使用可。煤が出にくい。内容量:10リットル。価格:18,000円

『ドワーフ式 精製燃料油』: 【説明】ドワーフの特殊技術で精製。高効率。少量で長時間燃焼。内容量:1リットル。価格:25,000円

(あった! しかも結構種類がある…! でも、やっぱり高いな…)


元の世界の感覚で言えば、ガソリンよりもはるかに高価だ。特にドワーフ式とやらは異常に高い。だが、背に腹は代えられない。一番量が多くて割安なのは「赤竜印」だが、「ランタンオイル」というのが気になる。「高品質ストーブ用燃料」が、元のホワイトガソリンに一番近そうだ。


(まずはこれで試してみるか…)


達也は『高品質ストーブ用燃料(白ガス)』4リットル缶を、思い切って5缶(合計4万円…!)購入した。アイテムボックスに、ずっしりとした金属製の燃料缶が5つ追加される。


これで合計20リットルの燃料を確保できた。すぐガス欠になる心配はなくなったし、ネット接続も(エンジンさえかかれば)しばらくは維持できるだろう。


達也はようやく、少しだけ安堵の息をついた。最大の懸念事項に、ひとまず解決の糸口が見えたのだ。もちろん、コストの問題や、本当にホワイトガソリンが使えるのかという不安は残るが、それでも大きな一歩だった。


雨音が響く車内で、達也は燃料缶がアイテムボックスに入っていることを確かめ、次の情報収集へと意識を移すのだった。

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