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雨の日は嫌な感じもする

 今日はひどく曇っていて、朝の空気がやけに気持ち悪く感じた。


「雨でも降るのかな……」


 天気予報を見ると大雨予報。午後から酷くなる……と。忘れずに傘持っていかないと。


 弘香ちゃんと電車に乗る。朝の電車は相変わらず混んでいて、動かなくても電車の揺れで体がぶつかる。

 

「まだ雨が降る前だけど降った後だったら下はビチョビチョで大変だよね」


 絶対荷物は下に置けないし、混雑して靴を踏まれたら最悪。跡がついちゃう。

 

 電車の中が混んできた。ドア側にちょっと移動してみる。


「弘香ちゃんキツくない、大丈夫?」

「……」

「弘香ちゃん?」

「え、あ、大丈夫よ」


 髪を耳にかけ微笑む弘香ちゃん。今日もなんだか口数が少ない気が……。


 しばらくして電車を降り、駅を出た時に気づく。


「あれ? 弘香ちゃん傘は?」


 手に持っていた傘がない。


「え、あ……しまったわ。手すりに掛けたのを忘れていた……」

「ええ!?」


 まあ僕も寝た時はたまにやっちゃうけど……弘香ちゃんがこういうミスをするのは珍しい。


「雨が酷くなるのは放課後だし、僕の傘に入ればいいよ」

「そうさせてもらうわ。ありがとう」

「いえいえ」


 


 昼休みになり、学食へ向かう途中、純矢の足が止まったと思えば、


「2人とも悪い。ちょっと職員室寄ってもいいか?」

「いいよ。呼び出し?」

「顧問の先生にちょっと出し物がのう」


 そう言って純矢はノートを見せる。

 

「部活ノートってやつかな。大変だね。えーと……何部だったっけ?」

「ボルダリング部と柔道部と応援団部と幸せを掴もう会」

「なんか増えてない……? しかも最後の何」


 いかにも怪しいんだけど。


「純矢はこの見た目通りの運動神経抜群だからな。ふっふっ、期待のルーキーだろう?」

「なんで斗樹が腕組んで自慢げなのさ」

「それじゃ行ってくる!」


 職員に入る純矢を遠くから見守る。純矢が向かったのは、赤ジャージ上下に角刈りの頭。いかにも体育会系っぽい先生。

 

 職員室を覗いていると、ふと国語担当の先生と目があった。

 メガネに黒髪ストレート。スーツ姿が決まっている、アラサーの荒川先生。スーツに押し込まれている巨乳……素敵。


「楓くん。こっちへきなさい」

「えっ!?」


 手招きする荒川先生。も、も、もしかして胸を見ていたことバレた!? 


「い、行ってくる……」

「お、おう」


 斗樹に別れを告げ、僕も職員室に入る。


「失礼します。こんにちは荒川先生。僕にどんな用件で……」

「楓くん、貴方西堂さんと仲いいわよね」

「は、はぁ。まあそれなりには……」


 幼馴染ですから。


「彼女に生徒会への入部を勧めていてね、生徒会は私が顧問をしてるんだけど……楓くんからも西堂さんに生徒会の勧誘を勧めてくれないかしら」


 そういえば弘香ちゃんから部活動勧誘、特に生徒会の勧誘がしつこかったって話を聞いたことあったなぁ……。


「すいませんが、西堂さんから生徒会の件は入らないと聞いているので……本人が嫌がっている事はしたくないですのでこの件は諦めていただけると」

「……そう、ごめんなさい。西堂さんほどの優秀な生徒を生徒会に入れないのはもったいなくてつい意地を張ってしまったわ。もう勧誘しないと彼女にも伝えてくれないかしら」

「はい分かりました」


 弘香ちゃんなんでもできちゃうし、勧誘しちゃうのも分かるけどね。


「なんの話だった?」

「弘香ちゃんを生徒会に勧誘してくれないかって話。まあ本人が嫌がってるから断ったけど」

「幼馴染はそんなことも頼まれるのか」

「まあね。先輩とかからも勧誘頼まれるから今は慣れっこだけど」


 弘香ちゃんとよく一緒に帰ってると知られたし、仲がいいと目をつけられ始めたのかも。


「お、噂をすれば」

「ん?」


 斗樹が目線を向けている方を見ると、弘香ちゃんがどこかに向かうように歩いていた。


「もしかして……呼び出しじゃない?」

「呼び出し?」

「呼び出しって言ったら告白だろっ」

 

 なるほど……弘香ちゃんモテてている様子だし。そりゃ巨乳で可愛かったらモテますよ。


 純矢が帰ってきて学食に向かう。窓を見ると雨が降り始めていた。


 雨の日ってなんだか憂鬱な気持ちになっちゃうけど……今日はなんだが嫌な予感もする。

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