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ライラック  作者: 遠藤 敦子
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8

 結局谷川は里美を捨てる形で振り、ルリと付き合い始めたらしい。しかしこのルリも人の彼氏をゲーム感覚で誘惑し、用がなくなったらあっさり音信不通にしていたそう。それでルリの本性を知った谷川が、やはり里美とやり直したいと思ってアクションを取ったのだと里美は考えていた。しかし何らかの手段で僕の存在感を知り、僕と里美を引き裂こうとしていたのだろう。

「明日、警察に相談に行こうか? 俺も付き添うし」と里美にLINEを送り、翌日の仕事終わりに警察署へ行くことになった。翌日、お互いの仕事が終わり、従業員入口で合流する。それから一緒に警察署へ行き、怪文書の件について相談した。里美の1人暮らしの家のポストに、僕宛の怪文書が投函されていたこと。殺すという脅迫めいた言葉があること。犯人が高校時代の元交際相手かもしれないこと。

 しかし、警察官からはこう言われてしまう。

「実害がないと逮捕はできないので……」

「そんな……。殺すっていう言葉があるんですよ? これって立派な脅迫じゃないですか? 僕と彼女に何かあったらどうするんですか?」

僕は興奮気味に警察官へ食ってかかった。たかが怪文書くらいでと軽く見られたような気分になったからだ。相手は

「うーん……。まあ今は彼女さんの家周辺のパトロールくらいしかできないけど……」

とのことだった。僕は正直、この警察官に期待はしていない。パトロールしてもらえるだけでもありがたく思っておいた方が良いと思った。

「ごめんね真志、私のせいでこんなことになって……」

里美が申し訳なさそうに言うので、僕はこう返す。

「里美が悪いわけじゃないよ。俺は彼氏としてできることをしてるまでだから」


 

 どういうわけかあの怪文書の件以来、特に谷川からのアクションはなかったのだ。警察に相談したことを知ってか知らずか、大人しくなったようだ。しかしここで油断はできない。油断しているうちにまた何かしてきそうな気がしたからだ。

 僕たちはというと、変わらず仲良く過ごしている。職場で休憩が被れば休憩室で話すこともあり、仕事終わりに食事やお茶をしに行くこともある。平日に休みが被った時は1日デートしたこともあった。里美とたくさんの思い出を作ることができて、僕はなんて幸せ者なんだろうと思う。付き合って1ヶ月の記念日にはいつもより良いレストランに行き、高価ではないちょっとしたプレゼントを交換し合った。だが、僕たちの幸せは長くは続かなかったのだ。

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