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ライラック  作者: 遠藤 敦子
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 その日以来、僕は渋沢さんと毎日LINEで他愛もない話をするようになる。先日男から大学生スタッフに「パンツは何色か」「彼氏はいるか」というセクハラめいた電話があったことを話すと、渋沢さんもそれはよくあることだと言っていた。特に渋沢さんのお店は女性スタッフしかいないので、「お姉さん今日のパンツ何色?」「彼氏いるの?」「お姉さん名前何? フルネームで教えて!」という男からの電話は日常茶飯事だそう。ひどい場合は特定のスタッフ宛に名指しでそういった電話がかかってきたこともあるし、電話越しに男がハァハァ言っているときもあるとのことだ。中にはレシートに印刷されている苗字からスタッフのFacebookを調べて友達申請してきたやつもいて、それ以来レシートには「スタッフ番号:○○○」と印刷されるようになったらしい。

 それ以外にもいろいろな話をしているうちに仲良くなり、呼び方も苗字にさん付けから変わっていった。僕は彼女を里美ちゃんと呼び、彼女は僕を真志くんと呼ぶようになる。ゆっくり食事でもしながら話したいと思い、ある日僕は勇気を出して誘ってみた。「里美ちゃんピザ好き?」と聞いてみると、「ピザ大好きです!」と返ってくる。それならばと思い、僕はイタリアンレストランの候補をいくつか提示して彼女に選んでもらった。お互いのシフトについても聞き、木曜日の夜に行くことに決まる。彼女が選んでくれたレストランをオンラインから予約し、ようやくデートに漕ぎ着けることができた。



 木曜日の夜、僕はいつもより気合いを入れた服装で彼女と食事に行く。休憩中は必ずしも会える保証はないし会えても1時間しか話せないので、こうしてゆっくり話すのは新鮮な気分だった。LINEしていたこともあって彼女のことはほぼ知っているつもりでいたけれど、知らない一面も知ることができて嬉しい。雰囲気の良いレストランだったので、ゆっくり食事を楽しむことができた。支払い時に彼女が自分の食べた分は払うと申し出てくれたけれど、僕はそれを断り全額支払いを済ませる。2回目は来週の金曜日の午前中にお花見に行こうという話になった。

 お花見を励みに1週間を乗り切る。合間の休みにはジムに行ったり、お花見に持って行くものを見に行ったりした。そうこうしているうちにお花見に行く日がやってくる。彼女はお弁当を作って持ってきてくれるとのことだったので、僕はお菓子と飲み物とピクニックに必要なものーーレジャーシートやバスケットなどーーを持っていくことにした。

 当日は駅で合流し、桜を見ながらピクニックする。弁当を作って持ってきてくれたのだが、お店に売ってあってもおかしくないようなクオリティだ。サンドイッチ、唐揚げ、卵焼き、ハンバーグ、サラダなどおいしそうな料理がたくさん入っていた。料理が得意と言っていたのも納得のレベルだ。

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