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ライラック  作者: 遠藤 敦子
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 日曜日、店長は休みだったので僕がリーダーとなって1日の業務を回す。パートスタッフや早番の社員を優先して休憩に行かせたら、気付かぬうちに午後14時を過ぎていた。もちろんリーダーなので僕が最後に休憩を取ることになっている。早番の社員が戻ってきて、「あとは僕回しとくんで、岩合さんも休憩どうぞ」と言ってくれた。僕は彼にお礼を言い、インカムで

「岩合、休憩いただきます」

と全スタッフに伝えて休憩室に向かう。さすがにこの時間だし渋沢さんはもういないだろうな、と考えていた。案の定、休憩室は誰もいなく、隣の喫煙所で男性スタッフ数名がタバコを吸っているのが見えたくらいだ。

 ここ最近は渋沢さんと休憩室で会うことが多かったので、なんだか物足りない気分だった。かと言って付き合っていないのに、お店に行くのもストーカーみたいで気持ち悪がられそうな気がする。今日乗り切ったら明日は休みなので、明日何をしようかと考えていた。そうこうしているうちに休憩時間が終わり、僕は店に戻ることにする。

 休憩から戻り、勤務を再開する。日曜日なので多くのお客様で店は賑わっていた。その頃、店に1本の電話が入る。

「大変お待たせいたしました。アローズ北町屋店、神山(かみやま)が承ります」

アルバイトの神山さんが電話をとった。だが明らかに困っている様子だ。

「岩合さんすみません。男性の方からお電話があったんですけど、『パンツ何色?』『お姉さん彼氏いるの?』と関係ないことばかり聞いてきて……」

神山さんは受話器を片手に真っ青な顔で僕のところにやってきた。大学生のアルバイトスタッフを相手にくだらない電話をかけてくるなんて、どれだけ暇な人なのだろう。それなら僕が電話を変わった方が良さそうだ。

「怖かったよな、そんな電話かかってきて。俺変わるわ」

僕はそう言って神山さんから受話器を受け取る。

「もしもし、お電話変わりました。僕が神山ですが何の御用でしょうか。えっ、パンツの色ですか? 紺色です。彼氏ですか? いません」

僕が神山さんの代わりに答えると、相手の男は電話越しに

「チッ、何だよ男か。だるいわ」

と捨て台詞を吐きガチャンと電話を切る。舌打ちしているのも電話越しに聞こえてきた。

「ありがとうございます……!」

神山さんにお礼を言われ、僕は照れ臭さもあった。

「お役に立てて良かった。次そいつから電話あっても神山さんは出なくて良いから。そいつじゃなくても、男から変な電話あったら俺とか店長とか他の男性社員呼んで」

と言うと、神山さんは「わかりました、ありがとうございます! 他のバイトの子にも言っときますね」と言ってくれる。

 日曜日で忙しかったのもあり、あっという間に退勤時間となった。明日は休みなので明日いるスタッフに引き継ぎのLINEをして、僕は退勤する。

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