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渡り船
ここから抜け出して家に帰って……じいちゃん達に秘石の出処を聞き、場合によってはそのままエルフ達を狩りにいく……それは出来る事だが……
「先に釘を刺しておくと、来たその日のうちに家族が心配なんて理由で抜け出したら即刻退学されて、家に帰れと言われるのがオチかしら」
「…………」
そんな事になれば、じいちゃん達がどんなに落胆する事だろうか……自分の事を学園に入学させる手立てが付いたと、抱きしめて喜んでくれていたのに……
どうすべきなのかと悩み、目を閉じて手を握り……
「僕は……」
帰るか、ここに残るか、その答えを出そうと口を開きかけた所で、
「でも、一つだけ教えておいてあげると、明日の学園の案内は昼には終わるはずよ。それから一週間は暇を貰えるわ」
「えっ?」
「もちろん、この一週間は意味のある一週間だけど……あなたなら昼に掛けて帰って、次の日には戻って来れるんじゃないかしら?」
「それは……出来ます」
「だったらそうしない。本当にすべき事は、それからでも遅くないはずよ」
それはまさに渡りに舟であった。




