呼び方
「……魔虫を倒させたいから?」
これだけ精密に詳細に、魔虫が描かれている資料を見せる理由を考えろと聞かれて思い浮かぶのは、倒して欲しということ。
聖女であるセルロスの力は傷を癒す事、セルロスの力では魔虫を倒す方法が無いから、代わりに戦って欲しいと……
「違うわ。あなたに、この資料を見せたのは、自分の立場を分からせる為よ」
「自分の立場?」
それは全く予想のしていない……予想の出来ない答え。
手にしている資料に、もう一度目を通してみるが、自分との共通点等一切無くて……
「もしかして…僕が魔虫に見えます?」
「あらっ良い答えね、遠からずって所よ」
「えぇ……」
冗談で言ったなのに、セルロスは良い線を突いたと笑う。
水面に映る自分の姿、町に出掛けて窓に映った自分の姿は人間の姿そのもの。
それにもしも自分の姿が魔虫の何かだとしたら、この街に居られる訳が無い。
一体何を言いたいのか分からず、資料にヒントが無いかと、もう一度パラパラと捲ってみるが、
「……あなたみたいに、エルフの力を使う者を何というか知っていて?」
「エルフの力を使う者の呼び方……?知らないです……」
セルロスに資料を捲る手を止められた。




