資料室
夜の中の学園は静かで、朝の時のような人の気配を感じられない。
もぬけの殻というのか……こんなにも大きくて立派な建物でも、こんな静かな時間があるのかと思うと驚いてしまうが、
「先に言っておくと、学園の中を巡回している守衛もいるから、油断はしてはダメ」
「はい……」
夜目を凝らして、獲物を探している者がいるらしい。
暗い闇に染まった森の中を歩くように、静かに気配を殺して歩く。
狼のように背中を少し丸め、足の筋肉を緩めていつでも跳べるように……最大限の注意を払って歩くが、
「……もしかして、その守衛のルートを知ってたりしますか?」
「えぇ、知ってるわ。でもランダムで動く場合が必ずあるから、そのタイミングが面倒なの」
セルロスに注意してと言われて、静かに右手を引っ張られるが、セルロス自身が守衛の巡回コースを知っているのか、守衛と会わない。
気を付けるのはランダムで巡回する時とは言うが、何と言うのか手慣れていて……
「まっ、学園に通った者なら、夜の学園内を散歩する何て、お茶の子さいさいね」
「そうですか……」
セルロスは意気揚々としている。
楽しそうに夜の学園を散歩するセルロスに連れられて、学園の奥の方へと連れて行かれると、
「ここが資料室よ」
「資料室……」
一つのドアを開けて、棚が所狭しと詰められている部屋へと通されたは、懇親会で使われた広場より少し狭い。
とはいえ、棚の上下にビッシリと置かれている紙の束の存在感は凄く、興味本位で棚に置かれている紙の束を一つ掴もうとしたが、
「ダメよ。本当は、ここに生徒を連れてくる事は禁じられているの」
右手を引っ張られて、さらに部屋の奥の方へと連れて行かれる。
学園の中の奥の、部屋の中の奥、一体どこに連れて行かれるのかと不安を覚え始めるが、
「でも、この部屋に学生を連れて来た事がバレたら、私でも怒られるでしょうね」
部屋の奥には、まだ扉があった。




