表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

68/86

終幕

父は、剣から伝わる脈動に、騎士がまだ息があるのを感じるが、足を踏み込んで剣先をさらに押し込むと、敵騎士の体が『ビグンッ』っと力強く跳ね上がってグッタリとする。



それは介錯。



もう死ぬしかない状況で、自分の意志とは関係無く体を震わせて悶える敵騎士への情け。



目出しの部分に突き刺した剣を引き抜くと、敵騎士はそのまま地面にうつ伏せになって倒れる。



本当なら父の勝利に兵士達が勝ち鬨を上げて、敵騎士の兵士達が逃げ出すというのセオリーだが、状況が違う。



勝手に動いた兵士を助けるために、周囲を敵兵士に囲まれている状況。



部下の兵士達は、他の敵兵士との戦いで動きが取れない。



唯一助かる手立てがあるとすれば……父は、兵士の腕を掴むと無理矢理に馬に乗せる。



兵士は、父が何をしようとしているのか理解して馬から降りようとしたが、馬の尻を叩くと走り出す。



唯一の逃げる手立てであった馬を兵士に与え、さらに兵士が逃げ切れる可能性を上げるために、父は敵兵士に斬り掛かる。



一人、敵兵士に挑んだ父がどうなったかというと……



「大丈夫ですか?」



「あっ…申し訳ありません学園長……学園長の動きがあまりにも素晴らし過ぎて、見惚れていました」



その最期の姿は思い浮かべない事にした。



「そうですか」



学園長は、騎士候補生の子の心が、心ここにあらずというのは感じたが、それを指摘するような恥知らずでは無い。



「今年の懇親会は、とても凄い物を見れました。しかし、学園生活は始まったばかりです。この学園を卒業する時には、生徒の皆さんも、彼等と同じように戦える事を願っています」



学園長が喋り終わると、二人は顔を見合わす。



決着は引き分けだが、中身は互いに死んでの相討ち。



「…………」



「…………」



二人は言葉を交わさない、相手をなじる事もしなければ、褒め称える事も無い。



互いに背中を向けると、白線の外へと出て行くと、



「今日は、これで御開きです。明日は、この学園の案内となりますので、ゆっくりと休んで下さいね」



まるで自分達二人を労うように、学園長の声が背中に送られる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ