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ルハンスク家の剣技

剣の間合いが見えてくれば、不思議と剣のリズムも聞こえて来る。



どのような軌道を描き、どのタイミングでどこを叩かれて……縦横無尽に舞っていた剣が、途端に児戯(じぎ)と成り果てた。



手に力を入れて、足を前に出して飛び出せば、決着は一瞬で付く。



こちらの気配を呼んだのか、剣をこちらに付き出して来るが、もう遅い。



目出しの部分に向かって剣が突き出されるが、間合いも、剣の飛び出すタイミングも完璧に把握している。



頭を少し前に出すだけでも、遅らせるだけでも避けられるが……相手の頭をかち割る為に飛び出す。



これだけで剣は避ける事が出来て……それだけで決着が付くのに……剣が迫って来る。



間合いを把握した、飛び出して来るタイミングも読んだ……なのに剣が迫る……



何が起きているの分からず、迫る剣に目が見開いていくと見えてしまった。



「剣を両手で持てば、右利きなら剣のグリップの上を右手で持ちますよね」



目の前の騎士が、剣のグリップの下の方を握っているのが見えた。



「剣を鞭のように振るっていた時は、剣の上の方を持ちます。けれど、ここぞという一撃を放つ時に、グリップの下を握ると……」



剣のグリップは両手で握る……それも握った両手には隙間がある。



グリップの上から下に持ち替えれば、拳一個分とプラスアルファ分の距離が延びれば、敵騎士は間合いを読み損ね、完璧なタイミングは最悪のタイミングになる。



目出しの部分に剣先が入る、剣先へと自ら突っ込んで行ってしまう……避けようが無い……どうしようも出来ない……剣先が目と目の間に触れると……



「これぞ妙技……たゆまぬ努力と受け継いで来た誇りが生み出す剣術です」



あれほどハキハキとしていた敵騎士が、神経締めされた魚のようにビクンビクンと震える。

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