敵騎士
父と学園長の動きが重なる。
敵騎士は、父の間合いを把握して、剣が鎧に対して不利なのを良い事に、前に飛び出そうと足を前に踏み出すと、
「ここです!!」
父も、返すように同じく剣を突き出す。
鎧を着た兵士に対して、剣が最も有効な一撃を与えられるのは、目出しの部分。
ここだけは、鎧の中から外を見る為に隙間が空いていて、ここに剣を突き立てる事が出来れば勝つ事が出来る……しかし、そんなのは騎士なら常識の話。
目にも止まらない速さの突きだが、間合いを計られて、狙う場所がバレていたら避けられて……
「これで決まりです!!」
父の剣は、敵騎士の目出しの部分に入り込んで眉間を貫いた。
それは決し偶然でも無ければ奇跡でも無い、全てが綿密に練られていた剣術。
メイスをあえて使わなかったのは、肘と膝から流血するこの状態では、重たいメイスを100%の力では触れない。
同じ武器を使った時点で不利、有利が最初から決まっていては勝負にならない。
そこで考えたのは、たった一撃だが……その一撃に全てを掛ける事の出来る「突き」
それをされたら一瞬のうちに勝敗が付く「突き」
最初、敵兵士が動きを止めたのは、宣言をされたのも同然だったから、お前の眉間に剣を突き立ててやると。
メイスがあるにも関わらずに剣を選ぶのは、相手を舐めて、馬鹿にしているとも捉えられて怒らせる場合もあるが、その時に限っては、父は肘と膝から血を流していた。
敵騎士も、剣を選んで逆転の一撃を狙うしか無いのだと理解すると情けを掛けないが、罵倒をするような事もしない。
痛くも痒くも無い剣が舞って、鎧を叩くが意味を成さない。
一方的な状況に、粛々と処理しようと敵騎士はメイスを振り回そうとするが、メイスを振ろうとする腕はしっかりと迎撃してくる。
しかし、迎撃して来るとは言え、有利なのはこちら。
目出しの部分に剣さえ入らなければ良いのだ。
こちらから攻撃に転じる機会を窺う為に、何度も何度も剣撃を喰らうと、剣の間合いが見えて来る。




