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騎士候補生の奇策とは

「そうしたら右足を右斜め前に出して……!!」



右足を踏ませた学園長は、そのまま右足を斜めにスライドさせると、見えない騎士候補生の突きは左に逸れて、



「上半身を縮めた事によって、木剣を左腰に溜める事が出来て……」



腰に溜めた木剣を右手一本で振り抜くと、見えない騎士候補生の腹が切り裂かれた。



見えない騎士候補生と決着を付けた学園長は、姿勢を正すと自ら拍手をして、



「素晴らしい一撃でした。防戦一方になりながらも逆転する為の手立てを思い付く……それも、身に付けた身体能力の高さがあるから、一見したら無謀な行為とも思える選択肢を行える……本当に素晴らしい」



兵士見習いの子に賛辞を送っていたのだが、



「さて、ここで問題です。私が、実演したあの子の動きですが、一つ気になる事があるはずですね?」



学園長の手が止まって、質問をされる。



学園長の動きは見事で、説明も合わさって敗北を覆すまでの情景が見えたのは間違いないのだが、気になる事があったかと言われてしまうと、口にする事が出来ない。



整列している学生達は、隣同士で何がおかしいのかと相談するが、答えが出せずにいると、



「そうですか……でしたら御本人に聞いてみましょう。君は敗北する状況から見事に覆しました……しかし、自分が思っていた結果とは違うのでは無いのでしょうか?」



学園長は、実際に逆転までの軌跡を描いた平民の子に声を掛ける。



平民の子も姿勢を正してから、騎士候補生の方に目を向けて、



「……結果は勝つはずでした……けれど……」



目線を下に降ろして、騎士候補生の右手を見る。



「そうですね……私は本当に感動しました。あなたの足捌きは完璧でした。並の相手なら、突きを躱して腹を裂いて勝ちでした……けれど、彼相手ではそうはいきませんでした」



学園長は二人の前に行くと、騎士候補生の方に手を伸ばし、



「よろしいですか」



「はい」



木剣を手に取って、準備運動といわんばかりに腕を回してから、



「さすがに、今からする事は実際に木剣を持たないと表現するのは難しいです……私も、まだまだですね」



騎士候補生の子と同じように木剣を鞭のように振るう。




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