学園長の見立て
我流で騎士候補生に肉薄している……というのも少し違う。
騎士候補生の、彼等の剣術というのは家宝。
代々、戦場に於いて研鑽されて受け継がれて来た剣術は、その日その時で学んだ程度の我流では、手も足も出ない。
たまに自分は騎士になれると勘違いして、我流で身に付けた剣術で挑む者もいたが、十中八九返り討ちにされる。
(しかし…あの子の戦い方は……)
『ガギィィ…ギィリ!!!!』
鮮麗の無い荒々しい太刀筋で、まるで野盗の剣の振り方に近いが……
(まさか…あの子は……人を殺しているのか?)
鮮麗の無い荒々しい太刀筋……それなのに、積み上げて来られた剣術に対抗出来るとしたら、あの子の剣が実戦で鍛えられた太刀筋である事。
それも一回や二回では無い、殺す事が太刀筋になるまで磨き上げられた剣術。
(だとしたらこの勝負……)
「お前は面白いなぁ!!」
「ぐぅ!!」
「先に、新しい一歩を踏み出した方が勝つ」
________
(こいつ…普通じゃない……!!)
整列して試合を観戦していた時、向こうの学生の腕前は正直、気を付ければ何とかなる程度で……野盗のような命を奪う剣ではなく、相手の体に剣をぶつける為の剣。
本人達は気付いていないが、当てる事が目的となっている為に振り抜く事をしないから、ぶつけた時のインパクトが浅い。
ちゃんと木剣を振り抜いてぶつけていたら、疲れている平民の学生等すぐに仕留め切れていた。
だから、こんな弱い奴等が、勝つ為に狡いマネをしているのが許せなくて、怒りに震えたのだが、
「どうした!!怯えているのか!?」
「こんなんで怯えるか!!」
少なくとも、木剣を手合わせしている目の前のこいつは違う。




