彼は
(流石、ルハンスク家の子供です。部下の暴走で父親を死なされたと聞いた時は、どうなるかと思いましたが……)
平民に対して復讐をする鬼になるのではと危惧していたが、学園に入る前の評判から、彼が騎士になるのは確実だという噂が流れてくるだけで、悪しき噂は流れて来なかった。
そしてその噂通りに、この鍛錬場に入って来たのは一番最後であった。
(とても優秀な人材になってくれるでしょう、それこそ勇者になれるだけの逸材……っと、そこまでは想定内でしたが……)
『ガギィ!!ガッガキィ!!ガギィン!!!!』
この学園一の腕前となるであろう騎士候補生に、肉薄する庶民の子供。
並の腕前では無い。
(あの体術は、どこかで勉強した物ではありませんね)
平民の子供達は学園に来る前に、各々住んでいる所の道場で剣術の訓練を受けている。
それは本格的な、一対一の訓練では無く、あくまでも先生が複数人の生徒に教える模範的な訓練。
言い方は酷くなってしまうが、ハンコを押したような剣術が量産される。
もちろんそれがデメリットという話では無い、兵士という大量に使う人材一つ一つに個性があっては困る。
兵士というのは個人ではなく、群で活用する以上、均一化されている方が計算がしやすくなる。
少し話が脱線してしまったが、各々住んでいる所の道場で剣術を訓練するので、多少の剣術の差異がある。
その差異を知っていれば、この子はどこの町の系統化というのが分かるものだが、
『ガギィ!!ガッガキィ!!ガギィリィ!!!!』
この子に対しては、どこの町の系統にも属さない。




