彼等にも、誇りがある
足を立たせて膝に手を付き、立ち上がろうとするが、頭が上がらない。
まるで、誰かに謝っているかのように頭を垂れ流し、汗が地面に落ちていく。
「どうした?へばってる場合か!!気合を入れろ!!気合を!!」
本当なら、彼等もこの学園を一周する位なら問題無く出来た。
けれど、大人の兵士のペースに合わせて、無理をして走り、途中で全力疾走をさせられた後に、さらに追加で走らされる……自分のペースで走れば、難無くと走れた距離なのに、こんな事をさせられたら……
「甘ったれるなよ!!お前達は、常に決められたペースで、決められたコースで、恵まれた天候で走れると思っているのか!?」
「「「いい…え……そんな…こと……思っていません!!」」」
「そうだ!!その意気だ!!兵士になれば不測の事態はいつでも起きる!!目標地点まで着いたと思ったら、もっと先へ行くとなって、永遠と歩かされる!!雨が降ればぬかるんだ道を、川が増水すれば迂回を強いられる!!それと、敵から逃げる時だって、追い付かれないように走り、相手が諦めるまで走り続ける!!ちょっとの不測の事態でヘタっていては、兵士になれないぞ!!」
「「「「はい!!!!」」」」
「…………」
徹底的に痛めつけられる彼等を憐れに思っていたが、それは、余計なお世話であった。
彼等は、自分の置かれている状況をしっかりと把握し、その上でここにいる。
この程度でヘタっている事を恥じて、少しでも早く、誰よりも早く、立ち上がって整列しようとする。
まるで謝るように垂れていた頭が、大輪を咲かせようと、垂れていたつぼみを持ち上げる花の様に立ち上がり、
「よしっ!!息を整えろ!!息を整え終わった者から横に並べ!!」
次々と花開き、女性の指示に従って並んでいく。




