試験は続く
何を言ってあげたら良いのだろうか?
頑張った事に意味がある?今は立派に先生をされているじゃないですか……?でも、その言葉に何の意味も無い。
「初めてだよ。軽やかに、汗一つかかずに追い付いて来たのは……まるで馬のように美しい姿だ」
「ありがとうございます……」
そして言う事も出来無い……この程度、息を切らすような事では無いとも。
「騎士を目指すというのなら、かなり苦労する事になるが……今はまだどうするか、決めていないんだな?」
「はい…そもそも騎士というのが、どんなのか理解していませんから」
「そうか……なら、成り行きに任せるのが良いな……それじゃあ、姿勢を正して待っていろ」
女性は一人頷き、子供の方に背中を向けると歩き出し、
「どうした!!歩いてたら日が暮れるぞ!!」
遅れている学生達に、発破をかける。
学生達はヘトヘトになりながら、ヨタヨタと歩いているのか走っているのか、分からない状況でも足を止めない。
一生懸命に足を動かして進む学生が、こちらを見ると、体を前に前へと倒すように向かって来る。
それは、起立して待っている自分が、ゴールの目標地点だと気付いたのだ。
足がもつれながらも、自分の足元に辿り着くと、次々とその場で倒れ込む。
みんなして息をヒィヒィとさせて、胸を上下に激しく揺らす。
もし、女性の人と話をしていなかったら、彼等の事を情けないと思っていたかもしれないが、今はそんな気持ちにはなれない。
彼等は一生懸命に走った、自分の限界を越えてここにいる。
息も絶え絶えにしながら、寝転び彼等にてを貸そうと手を伸ばそうとするが、
「動くな!!手を貸すな!!」
女性が、こちらを睨み付けた。
「休みたい奴は好きなだけ休め!!だけど、それがどういう事かくらいは、さっきの事で分かっているよな!!」
女性の言葉に、地面に寝転がっていた者達が腕を付ける。
地面を押して、立ち上がろうと必死になる。
「…………」
必死に立ち上がろうとする彼等に手を差し出したいが、それは出来無い。
この立ち上がるのすら、試されているのだ。




