学生寮の前
学生達は、一度は目的地に辿り着くと無理して、限界ギリギリで走ったのに、まだ走らせられるのかと思い……
「「「うぉおぉぉぉぉ!!!!!!」」
思ったとしても、足を止められる訳が無い。
考えが甘かったのは自分達、ここの門が上流階級の、街に住んでいる人達の行き来する場所。
そんな所を平民が通される訳が無い……そんな所で立ち止まったら、末代まで、悪い意味で目を付けられてしまう。
(そう…それが現実……)
上流階級は騎士、平民は兵士……それは不文律。
昔は、その不文律を書き換えようとしてやって来る者もいたが、現実を見せ付けられて、打ちひしがれて……町一番、村一番の者でも、結局は兵士で終わると……多くの者が雑兵になる事を受け入れている。
いつからだろうか?
平民は良い兵士になり、騎士に気に入られる事が最大の喜びと……それは決して間違っていないが、寂しいものだ……最後には夢を打ち砕かれたとしても、平民から騎士になった者のように、己も兵士になると息巻いていた者もいたのに……
「……足を止めるな!!走り続けろ!!付いて来い!!」
心の中のモヤモヤを晴らそうとして、女性はさらに加速して走る。
それは学生達が、追い付けないとスピードだと知りながら……
そうして壁を伝い、走り続けて辿り着いたのは、
「こうなったか……」
学生寮の前であった。
女性がしたのは、この学園を一周しただけ。
実は、学生寮の者達が、学園に入る為の入り口は裏側にある。
本当に、学園に案内するだけなら、学園を一周する等という無駄な事をする必要は無かったのだが、これは選別をする為。
この学園に来ると言う時点で、ある程度の訓練を各自でしている。
それこそ、普通にしていたら差が出ない程には、そこで、差を出す為の方法として、学園の入り口前で一度限界にさせてから、そこからどうするかを見定める……限界を越えられるか、越えられないかを。




