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ラストスパート

「…………」


学生寮から反対の壁に来ると、足を止める事無く曲がり、少し走るペースを上げる。



まるで、馬に鞭を入れたかのように女性の体が『グンッ!!』と前に飛び出して、そのまま走って行く。



それは何も、背中にピッタリと引っ付く子供が気に喰わないから、引き離してやろうという意地悪では無い。



これは予定調和、付いて来る子供達の順位を明確にする為。



走って追って来る子供達は、自分達が喰い下がっていると思っていたかもしれないが、戦場に出ている者の本気はこんなものでは無い。



何とか食い下がっていると、自信を持ち始めた所で、現実を叩き付ける。



子供と大人の体格に差がある事を差し引いても、本気を出されたら追い付けないと、今まで自分達がして来た苦労等、この学園では、お遊戯だったと教える。



女性が一踏みするだけで、子供達にとっては二歩、三歩と足を動かさなければ追い付けない。



次第に距離が離れて行く……手綱を離してしまい、走り出した馬を追い掛ける人間のように。



必死に追い付こうと、手足を壊れた振り子のように動かし、必死の形相で追い掛ける。



子供達は、こんな事で劣等生扱いされてなるかと、限界のスピードを維持しながら走り続け、朝、受付した正門まで来ると、女性が走る速度を緩め始めた。


それは、念願のゴールに辿り着いた合図。



ここで追い付こうと、学生達は追い付くために限界を超えて、馬車馬のように足を回し……



「やるじゃないか!!でも、そんなペースで最後まで持つのか!!」



正門前で止まろうと、緩まっていたはずの女性の足が再び躍動する。



後少しで追い付けると、無理をした学生達の表情には、明らかな絶望が見えるが



「行っておくけど、ここに来たのは観光みたいなもんだ!!しっかりと、よく見て覚えておけ!!ここはお前達が通っちゃいけない場所だからな!!何が何でも足を止めな!!止めたら蹴っ飛ばしてでも、端に寄せるからな!!」



それで、女性が足を止める事は無い。

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