駆け抜け……
バタバタと走り出した割には、息を揃えたかのようにスタートダッシュを決めて走っていく。
誰が一番速く、女性の後に付いていけるかと争う。
動物の群れが、大移動するかのような光景に驚いたものの、
「ふ~ん…それなら」
追いかけっこをするというのなら話は別。
少し出遅れたとはいえ、風の力を使わないとしても、
「一番になる!!」
山の中で生活して来たのは伊達じゃない。
大地を踏みしめて蹴り飛ばし、蹴り上げた足を巻き込むようにたたみ、たたんだ足を勢い良く伸ばして、大地を蹴り飛ばすと、前を走る学生達の群れを追い越す。
先に走る学生達も決して足が遅い訳ではない、しっかりと鍛錬をしているからこそ、女性の後を息を切らす事無く、背中を見失う事無く付いていけるのだが、少年は別格。
一人だけ、馬が走るかのようにグングンと加速していくと、先を走っていたはずの女性に追い付き……
『バチンッ!!』
真横に付こうとした辺りで、こめかみにデコピンを喰らった。
「付いて来い!!」と言われて付いて来たのに、何でデコピンをされたのかと、驚いて目を丸くしてすると、
「抜こうとするな!!後ろに付け!!お前、どこに行くのか分からないだろ!!」
至極当然のことを言われてしまった。
追いかけっこだと思ったのが良くなかった、これはあくまでも、女性の人に付いていくのが目標であり、抜くことではない。
「すみません……」
怒られた事にしょんぼりしながら、走るペースを落として女性の後ろに付く。
「…………」
女性は、自分の事を追い抜きそうになった少年を一瞥してから、前を向き直し、
(追い付けるのか……)
少年の身体能力に驚きを隠していた。
女性はこの学園の指導員、先生であるのだが、それと同時に兵士長なのだ。
常に、最新の戦場の情報を学園に教えるために、二年に一回、兵士長と先生を繰り返していて、まさに現役バリバリの兵士。
いつでも戦場に呼びだされても良いように、鍛錬をしているから、いくら子供達が、学園に来るために鍛錬を積んだとしても、相手にならない。




