人が住まうべきではない場所であるが……
受け付けが終わって、こちらの様子を見に来たのであろう女性は、自分のすぐ横に立ってから、このボロボロの学生寮と、向こうの綺麗な建物を見比べて笑い、
「ここはまるで、家畜小屋みたいだろ?」
「それは…はい、家畜小屋だと思って、辟易してました」
自分が思っていた事を口にしたので、同意してしまう。
学園側が用意した住まいとはいえ、これはあんまりだ。
人という尊厳を傷つけるような場所……まるで野盗に攫われた人が押し込まれるような場所に、こんなのが許されて良いのかと聞こうとしたが、
「……私もイード先生も、このボロボロの寮で卒業するまで暮らしたんだ」
「えっ…ここでですか?」
女性からの言葉で、言いたい事が引っ込んでしまった。
「初めて来た時は、こんな雨風もしのげないのに、何が学生寮だって息巻いたものさ」
「そう…なんですか……」
ここに住んでいた……その言葉が意味するのはそのままの意味、自分が抱えている不満を、この女性も同じように抱えていたという事。
同じ不満を抱えていた者と、同じ不満を抱えている者同士で共感する事で、不満をぶつける事も出来ず、
拍子抜けしてしまうが、
「でしたら、なぜこのような状況を放置されているのですか?」
それでも、抱えている不満を、悩みとして聞いてみる。
すると女性は、微笑んだままではあるのだが、少し悩むように間を空けてから、
「これは、言ってはいけないけれど……」
「言ってはいけない?」
「じゃあ……ヒントを上げよう。必要な事だからさ」
「必要な事?」
「そう、それとみんなの態度を見てごらん」
「あの…ベッドにいる姿ですか?」
「そうだ」
二つのヒントをくれる。
ヒントをくれたと言っても「必要な事」「ベッドにいる姿」と言われても、何の繋がりも無く、不満を取り除く答えに辿り着けない。
「これはヒントじゃないけど…私達も君と一緒で、初めて来た時はすぐに外に出たよ……上手くやりな!!」
「上手く……わっ!?」
「さっ!!学生寮の中で、ウジウジしている奴等を外に呼んで来なさい」
女性の人の、言いたい事が全部言い終わったのだろう、この話は終わりだとばかりにお尻を叩かれて、学生寮の中にいる者達を呼んで来なと促されるのであった。




