話の続きの話
子供は悩んでいる、この話にどう答えるべきなのかと。
(……そうだ。この答えはあっているけど、これに正直に頷くようなら間違いだ)
決して意地悪をしていない……意地悪をしていないが、この話は踏み絵になる。
自分の身の潔白を証明するのに重要な話。
子供がどうやって答えるのかと待っていると、
「…………」
首を回してみせる。
「そうか…後は……」
それで良い。
何か特別な答え方をしろというのではない、あくまでも、話を終わらせないことが重要。
何なら首を横に振ってから、縦に振るでも良かった。
とにかく少年が、この話だけではない答えにならないと意思表示したのだから、話を続けないといけない。
また、様々な依頼の話をしていくが、子供は首を横に振る……それこそ、野盗に奪われた物を取り返して欲しいという、それらしい質問にも首を横に振って。
話に間違える事無く相槌を打ちながら、次の答えとなる話を待っている子供に、
「後、こんなのもあったな、魔虫を倒して欲しいという依頼も」
「………!!」
キーワードとなる話をすると、子供はまた首を回した。
「……そうか…そうだね……分かった、私が君の身元を保証しよう」
この質問が、町長の内密にしたかった答え。
町長が秘密の依頼をした、あの日に何があったのかというと、街から近々、町の状況を確認する使者が来る事になっていた。
使者を迎える為に、町の兵士を向かわせたのだが、そのタイミングで最悪な事が起こった。
森の中に野盗が住み付き、魔虫が現れたという話が出てしまったのだ。
どちらか一方なら、タイミングが悪い時に住み付かれたと、まだ取り繕う事も出来たし、町にいる残された兵士だけで対処も出来たかもしれないが、野盗と魔虫というダブルパンチでは、そうもいかなかった。
町に残された兵士を出して、野盗と魔虫を同時に捜索して、同時に戦って……それでは時間が掛かり、危険も伴う。
だからといって野盗を放置して、魔虫も放置して……そんなの事が街の使者の方にバレたら、どんな叱責を受けるか分かったものじゃない。
そこで偶々、町に来ていた何でも屋のおじいさんに依頼したのだ。
凄腕の元兵士、代々続く道場の師範代だったと噂される何でも屋のおじいさんに、どちらかを対処して貰えないのかと。




