身元確認
「教えてくれないかな、これをどこで手に入れたんだい」
この書類が不備のある物なら、この学園に入学したくて作った物だと判断して、そのまま帰らせて良かった。
しかし、この子が持ってきた書類は本物と瓜二つ。
自分以外の者が、この書類を受け取っていたら、何の疑問を抱かずに受け取ってしまうほどに精巧な代物。
一個人が作れるレベルではない、それこそ、どこかの国から送られてきたスパイでもなければ、話が付かない。
目の前にいるのは、あどけない子供だが、裏に何かがチラつくというのなら、この国を守るために鬼にならなければならない。
腰に携えている剣の柄に手を這わせて、子供を捕らえようとするが、
「待って下さい!!これは本物なんです!!」
「……話してごらん」
子供は、両の手をこちらに見せて敵意が無いことを示してくる。
説明するというのなら話は聞く、納得するかはまた別問題だが……剣の柄に這わせた手を、まだ握らない。
(まさか…こんな事になるなんて……)
少年にも、こちらを見る男性の目が鋭くなっているのが分かる。
この男性の目は、さっきの性格の悪い男と違い、自分の子供を守ろうとする獣と同じ目をしている。
そのような目をしている者に、さっきのような暴力は振るえない。
「僕のおじちゃんは物売りをしてまして……それこそ薪や鉱物、獣の肉や魚、色んな物を売りに来ています」
「うん……」
「お伺いを受ければ、出来うる限りご用意をして来ました。そんな中で、町長から特別なお願いを受けまして……それで……」
「町長からの特別なお願いか……どんな内容かな」
「それは内密にという事で……」
「そうか…君の話は私も知っている。私の町では有名だからね「何でも屋のおじいさん」でね」
子供の言っている事は間違いない、自分の町には頼りになる「何でも屋のおじいさん」が来る。




