学園はどこ
それがどういう事なのかというと、本人にも良く分かっていない。
少年は人間なのだが魔法が使える、それも、エルフの秘石も無しに。
望めば風が舞い、願えば風が力を貸してくれる。
「いつか、風を吹かせるその時までは……」
おじいちゃん達と約束したこと、決してこの力を人前では使わない……風を吹かせるべき、その時までは。
その約束をしたからこそ、そのかわりになるにエルフの秘石をくれたのかと思ったけれど、風の力を使うように望んでも、願っても何も起きない。
「そりゃそうさ……僕はちょっと魔法が使えるだけの変わった人間なんだから」
魔女の秘石をしまうと、目をつぶる。
少し変わった日になったが、それでもいつもの今日という日が終わった。
次に目を覚ます時は、新たな日が始まる。
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街は朝から賑やかだ。
仕事に向かうために忙しく歩き回る足音、荷物を運ぶ馬車の車輪がゴロゴロと転がる音、騒々しいが活気付く音。
町や村とは違う、大きな街に見合った、今日という日が始まった音が、あちらこちらから聞こえる。
「人も建物も沢山だ……」
遠目から見た時から大きな場所だと思ってはいたが、実際に街の中に入ると圧巻の光景。
町を幾つもくっつけてたかのような場所。
「学園はどこなんだろう……」
目に入ってくるもの全てが新鮮に映り、目移りを起こしてまう。
建物の上に登ってしまえば、それらしき建物を見つける事も出来るかもしれないけど、裏路地にも人がいる。
次々と行き交う人に声を掛けるのも気が引けてしまい、目だけで追う事しか出来ない。
(もう一回外に出れるかな……)
外に出ればマントを羽織って木に登れば探すことも出来るかもしれないが、
(でも、間に合うかな……)
集合の時間は朝だとは教えられている。
風の力を使わずに、外に出てから戻ってくるとなると、時間が足りるかどうか。
それを考えたら、やはり誰かを捕まえて学園の場所を教えて貰うべきなのだろうが……
「そこのあなた、どうしたのかしら?」
「えっ?」
外の方を見ているうちに、知らぬ間に馬車が一台、自分の側で止まっていた。




