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元人形少女は神様と行く!  作者: 餠丸
1章~テュワシー~
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4th.犬探しの依頼


 飼い犬を探せ――今日の使命、今日の稼ぎの為の初めての依頼。

 報酬は良好だが、ラミちゃんの姿形等は不明である。そんな時にどうするか――情報収集の他にあるまい。


「ラミちゃんという犬が、どういう姿をしているのか分からない以上、探すのは骨が折れる」


 ニゲラの象徴画が刻まれた装飾品――人が神器と呼ぶ道具を持っているスティーがその力を使えば特に難しい依頼では無いが、今回は普通に見つける努力をしよう。そう諭すシエラにスティーは「異議無し」と言って首を縦に振った。

 ――それでも見つかりそうになかったら、道具を使おう。その提案にもスティーは頷いた。

 依頼書の裏には依頼主の住所等が記載されている。

 依頼主の名前はシアル・ジョージ―というらしい――年齢は七歳。ラミちゃんとの関係は同じ年に生まれた大切な家族であると書いてあった。


「難易度の設定は依頼主が行う――でしたよね」

「うん」


 とすると、ラミちゃん探しが小難易度以上の難易度を誇る可能性も考えられたが――二人は何も考えなかった。

 依頼主の住所はバッテラ区の住宅街十六番地――赤い屋根の家が依頼主の住んでいる家だと書いてある。


「あ、ありました。あの家だと思います」


 店の並ぶ大通りとは違い、住宅街は昼だというのに結構静かだ。

 黙々とその生活の一部を営み、草刈りをしていたり洗濯物を干していたりとしている事は十人十色――シアルという依頼主の家では小さな女の子が玄関前の揺れ椅子で落ち込んだ様子を見せていた。


「こんにちは」


 シエラが彼女の近くまで小走りで近寄り、声を掛ける。


「こ……こんにちは」


 人見知りなのか、指を胸の前で弄りながら恥ずかしそうにシエラへと返事をした。


「ラミちゃん探しのお手伝い。どんなわんちゃんなのか、教えて欲しくて来たんだけど、いいかな? お嬢さん」

「わあ……! うん、いいよ!」


 ラミちゃんを探してくれる人が来て嬉しいのか、女の子は喜びを顔に出して大きく返事して家へと入っていく。

 玄関の方より「おかあさーん!」という声が聞こえ、シエラはくすりと笑った。


「余程、嬉しいんですね」

「そうみたいだね」


 数分して、玄関の扉が開く。

 出てきたのは垂れ目で長い茶髪に同じ色の瞳を持つほんわかとした女性だ。婦人服に身を纏い、清楚な印象を受ける。


「どうも~。よくいらっしゃいました冒険者様――入ってください」


 一つお辞儀をされて、二人は玄関へと案内された。

 裕福な家柄なのか大きな家で中も広く、やたら部屋の天井や通路の幅が極端に広いことが不思議だ。報酬額の多さはそのおかげだろうか、両親が報酬を出すらしい。


「――ラミちゃんは、拾ったんです」


 ラミちゃんは拾い犬――その為犬種も分からない。

 大型犬で、ラミちゃんと共に同じ時を過ごしたシアルという女の子はいつも一緒におり、両親もまたラミちゃんの事を大切な家族と称していた。


「黒い毛色をしています」

「居なくなったのは、どうして?」


 シエラの問いに、シアルの母親――ソワルは答える。

「雷に驚いちゃって……お散歩中に突然振り出したと思ったら……はあ……ゴロゴロ、ピシャーッと」

「なるほどね……」

「それで、私とシアルも驚いちゃってねえ……逃げていくラミちゃんを追い掛けるにも、私は運動がてんで駄目で」

「確かに、犬は走るの速いからね……」

「帰巣本能があるから大丈夫だと旦那は言うんですが、一日経っても帰ってこないから心配で……重ねて聞きますけど、依頼遂行お願いしてもよろしいですか? ラミちゃん、シアルと同じで人見知り激しいから噛みついちゃったりしたら、治療代の方もお出しします」

「ま、大丈夫でしょう。スティー、行こうか」

「はい!」


 取材を終え、ラミちゃんの情報を得た二人は、依頼遂行へと再出発した。


 先程の住宅街は、南西へと進むコイテラ通りの近くにある――故に、ラミちゃんはコイテラ通りを進んだ可能性が高いとシエラは分析した。


「ギルドから結構遠かったですね。サバスさんが近くを通らなければ、歩いて一日くらい経ってましたよ」

「うん、神に感謝」


 ラミちゃんの特徴は掴んだが、犬の習性を知っていてもどこにいるかまでは分からない。

 カグマンの街並みは大通り中通り小通りと始めてくるものにとっては迷いやすく、いつもの散歩経路とは異なる場所を行く犬に限っては迷う条件としてはかなり揃っている。雨によって自分の来た時の臭いも消えてしまった事も原因だろう。

 そんな時、近くに居た男性がふと「先日、大きな犬がコイテラ通りにあらわれた」という言葉を口にし、シエラはその男性に声を掛けた。

 上半身裸のその男はその時酷く酔っぱらっていたらしいく――黒い犬にぶつかってしまい驚いて腰を抜かし、置いてあった木箱の角に尻をぶつけた事が印象付きよく覚えていると語る。


「なるほど、ところで何で上半身裸なの? 私の横の純粋な女の子が赤くなってるでしょ」

「お? 俺の肉体美に惚れ込んだのかい?」

「さいなら~~」


 シエラは手で顔を隠して赤くなったスティーを連れてその場を離れた。

 メトリーとパルバトに向かった際の出来事と同様――スティーは男の裸に免疫が無かった。


(それにしても……大型犬にぶつかって、それを見て腰抜かすなんてことあるか?)


 ラミちゃんの特徴は大型犬――それは依頼主であるシアルとソワルより聞いていた。

 だが、男性の「腰を抜かした」という証言も少し気になるとシエラは考える素振りを見せ、隣でスティーが「どうかされました?」と問い、シエラはもしかしたらと一言添え、予想を口に出す。


「小難易度じゃ、無いかもね」


 中難易度の可能性も考えられる――そのシエラの予想は、的中した。


 ヴォルゾフ――通常の人間の二倍ほどの大きさを誇る犬系統の生物。

 本来、山岳地帯に生息するその生物は、赤子の頃は小型犬程度の大きさではあるものの、大人になると人間が飼うには「食べられる可能性も考えられる」として難易度の高い犬種。


「超を付けて欲しかったね……大型犬って言うにはデカすぎる」


 犬と同種ではある。

 ただ――犬よりかは狼に近い。

 通りで玄関の扉の大きさも、家の通路も妙に幅が大きかった訳だとシエラは汗を一筋流しながら目の前に居る「ラミちゃん」ことヴォルゾフに「ちっちっ」と舌を鳴らしながら近づいていった。

 ラミちゃんが居たのは住宅街と少し離れた場所にある廃墟の中。情報収集を繰り返し、目撃者が最も多い場所から近い場所に居るはずだとして、最終的に辿り着いたのがその場所だ。


「食べられないでくださいね……」


 シエラの背中にスティーの声が掛かる。


『ゴルルルル……』


 威嚇の唸り声を上げながら、ラミちゃんはシエラを睨んだ。


「こえぇ……図鑑で見たのより迫力が段違い……やっぱり実際に見た方がその迫力も大きさも実感を得られるね……ら、ラミちゃ~ん」


 ヴォルゾフの体躯に怯えるスティーに良い所を見せるべく、シエラは頑張った。

 ゆっくりと近付いていく彼女に、ラミちゃんは再び唸る。


『ゥウォォォォォ……』

「――――助けてスエ……動物好きのお前だったらこれどうしてたんだい……?」


 原初十二神の一柱、スエの名前を呼びながらシエラは声を震えさせつつ目尻に涙を浮かべてラミちゃんに近付いた。

 敵じゃない事が伝われば、この狼犬は落ち着いて住宅街に一緒に向かってくれるはずなのだ――初めての依頼だというのに、受ける難易度を見誤った。シアルという女の子にとってはこのラミちゃんは「おおきいわんちゃん」という印象しかないのだろう――シエラはシアルに尊敬と畏怖の念を抱いた。


「サグラスだったら喜んで噛まれに行くんだろうな……」

『――――!』

「~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!?」


 急にラミちゃんが立ち上がり、見上げる程の大きさをその場で顕わにした彼か彼女かに、シエラは口を抑えて顔を青褪あおざめさせて、声にならない悲鳴を上げながら遂に逃げる為背中を見せ、同時に腰を抜かす。


「し、シエラ様……!!」


 スティーが動く。

 何より大切な人を守るべく、勇気を振り絞り噛まれることを覚悟してラミちゃんの元へと向かった。


(ぁ…………)


 一方で、下腹部に生温かい感触を感じるシエラ。


「ラミちゃんさん!! 噛むなら私を噛んでください!!」

(はは……スティーがサグラスみたいなこと言ってる……。ついでに私は漏らしちゃった……ははは……)


 一悶着後――スティーがシエラを慰めながら廃墟を出てくる姿がそこにはあった。

 バースの腕輪、バースの象徴画が個々で役に立つとは思いもよらなかったとシエラは落ち込んだ様子で語る。

 あの時ヴォルゾフが立ち上がったのは、バースの象徴画による気配に「主だ」と感じ、逃げるシエラを追い掛けたのは主より与えられた餌だと思ったから――スティーがシエラの事を守る様子に餌では無いと確信し、ラミちゃんは大人しく二人に従う結果を生み出した。


「私……もうお嫁に行けない……」

「…………」


 シエラの言葉に、スティーは汗を流す。

 後ろには魔力を操れるようにまで進化したヴォルゾフの姿――魔力濃度に秀でた液体・・を口にしたラミちゃんが満足気な様子で付いてきている。


「知ってる? スティー」

「な、なんでしょうか……」

「神の身体から出たものって、どんな毒も浄化するんだよ……人間以外が接種したら、進化する」

「そ、そうなんですね……知りませんでした」

『申し訳ありません。神であるとは露知らず、襲い掛かった事を一言詫びさせていただきたい』


 そして、これでシアルと話せるようになったとシエラにラミちゃんは礼を言った。


『それにしても……人間の出すものとは全く異なる味をしているのですね、神々の小――――』

「言うなよお!! そんな事ぉ!! ばっちいでしょお!! ……何で舐めたのさ……」

『クーン……気になってしまい……私たちや人間のとは明らかに匂いも違いましたから……』


 自分の出したものを舐められた結果、魔力を扱えるようになったし喋れるようにもなったよだなんて、あの女の子にどう説明すればいいのか分からない。

 そんな事を思いつつ、スティーはどうしようか考えていた。


(事情を話すのは止めておきましょうか……適当な事を言って場を誤魔化すしかありませんね)

 

 依頼主の家に戻り、依頼達成の報告をする――――喋るようになったラミちゃんと共に。


「わあ……!」

『シアル、そして母よ。只今戻りました』

「あらあら……」


 シエラとスティーの予想とは裏腹に、シアルとソワルの反応は意外なものが返ってきた。

 子どもというものは不思議だ――純粋で、受け入れがたい者も案外素直に受け入れてしまう。

(思ってた反応と違う)

 ラミちゃんの変化に怒られてしまうかと思っていたシエラは拍子抜けした表情を浮かべていた。


「ラミちゃん、冒険者様に泥とか掛けたりしなかった? シエラさんの履き物が変わっているのだけれど……」

『それは、私が彼女を驚か――――』

「何でもありません。何もない」

「え?」

「ラミちゃんが居た廃墟で引っ掛けて破れちゃっただけ……そうだよね? スティー」

「……はい」

「あら、そうなのね。兎にも角にも、ラミちゃんが無事でよかったぁ~。シアル、お礼は?」

「……ありがとう。すっごく綺麗なお姉ちゃん」

「――――――んふふ……しょうがないね。履き物の事はチャラだよ」


 そう言って、シエラはシアルの頭を撫でた。


 まさか、報酬額の二倍の額を貰えるとは思わなかったとスティーはギルドへ向かう際に言った。

 彼女の手の平には白金貨一枚が握られている。宿屋の相場をソワルに聞いたところ安い所で二千コルタという値段――かなりの日数を寝泊まりできるとシエラは自虐気味に「私のお漏らしは無駄じゃなかった」と一言。

 スティーはそれに対して「お漏らしした事は彼女たちに言ってないですけどね」と返した。

 二倍の理由はラミちゃんが喋れるようになった事でシアルが凄く喜んでいた事と、それによりこれからは意志疎通も出来るし、魔法を覚えさせることも可能になったという理由が大きい。

 シエラの言う通り、お漏らしが無駄ではなかったのは確かだが、動物愛護団体か何かがその事情を知れば彼女は一部より非難される恐れもあるだろう。

 賭博性の高い依頼だった――シエラはにこりと作り笑いして「今度からはちゃんと詳細聞いて依頼を熟そうね」と力なく言った。


「そう、ですね」


 ――たった数時間という間に色々な事を体験した一日だった。

 もう依頼は無しにして、今日は近くの宿屋に一泊し、明日ギルドに向かう事に二人は決めた。冒険者要項にも「ギルドへの報告前に報酬を使ってはならない」という文は記載されていないし、問題は無いだろう。


「体も洗いたいし、お風呂のある場所が良いなあ」

「そういうのは、結構お値段張るみたいですよ?」


 シエラがスティーのその言葉に「いくら?」と聞くと、彼女は近くの宿屋へと近付いていく。

 入り口横の値段表――風呂付きにつき一人五千コルタ。


「あまり無駄遣いは宜しくないのでは? それに、メトリーさんが言っていたんですけど下界では法外な値段を吹っ掛けられるという……」

「このカグマンで? 信用を得る為に皆必死なんでしょ?」

「――――それもそうですね」


 折角だし、依頼を達成したご褒美に贅沢をするのも悪くないだろう――そうシエラは言った。

 おまけとして、汚れた履き物を洗いたい。そうも続けた。


 木造りの建物――その宿屋の名前は「ふくろう亭」。

 五千コルタという値段は一人分だ。結構いい店なのかと思えば風呂と食事つきでの値段となっており、一泊などの少ない日数だとその値段はもっと安くなる。やや埃っぽく、創業年数もあるのだろうか。

 黒い薄手の服を着た恰幅の良い男性が店主を営むその店で、彼と話す者が一人……否、一柱。


「お、サグラス」

「ん~……? その声は、母様かい?」


 少し高めで女性の声にも聞こえる声を発しながら、振り返ってシエラの方を見る。

 彼について話をしていた日のうちに会えるとは、まさに「噂をすれば影が差す」という言葉の通りなのだろうか。何かしらの運命を感じ――はしなかったが、丁度良いとシエラは言った。


「今日から暫くこの街に滞在するよ」


 スティーの顔半分までの高さという身長――顔立ちは黒く長い髪に隠れてあまり見えないが、髪が揺れる度に気の強そうな少女らしい相貌がちらりと見える。瞳は橙色。

 高級そうでぴしりとした礼服を着て、王様と聞けば納得する風貌だ。


「天界から報せは受けているよ。歓迎するね」

「そっか――紹介する。こちらスティー」

「よろしくお願いします……サグラス様」

 頭を深々と下げるスティーに、サグラスは「こういうのもなんかイイね」と興奮した。

「性癖に巻き込むな――――変態」

「んふふ……もっと言って、僕を叩いてくれても良いよ」


 シエラが「変態」と口にした途端、サグラスは満面の笑みを浮かべた。

 何という変態性――スティーは純粋さ故に詳しい事は分からなかったが、触れない方が良いとして黙り、シエラとサグラスの会話を邪魔しないように横歩きにて店主の方に話し掛けた。


「こんにちは」

「こんにちは。宿泊かね」


 しわがれた声が返事をして、要件を聞いた。


「はい、一泊だけなんですが……良いですか? 二人です」

「ん……風呂と食事は?」

「有りで!」

「一人三千五百コルタ。外の看板のは三泊二日の値段だから、次泊まる時は覚えておきな、お嬢ちゃん」


 吹っ掛けられる心配は要らなかったようだ――商業神が目の前に居るから当然と言えば当然なのだろうが……。

 凄く落ち着いた男性だ――見た目四十。乱暴そうな容姿をしており、大きな声で何かと言われるかと思いきや意外だとシエラはサグラスとの会話の中で思った。


「ふぅ……」


 店主が溜息交じりに息を吐いたのを見て、スティーは「お疲れの中ご苦労様です」と言った。


「――ところでサグラス。お前国王なんだって? 結婚もしてるそうじゃん。街中の掲示板にも書いてあったよ」


 肘で小突きながら、シエラがにやにやとして言うとサグラスは「ははは、もう毎日が素敵な日々さ」と笑って言う。

 しかし、こんな宿屋に国王が何の用で来たのだろうかという疑問がシエラの中にはあったが、何か用事があったのだろうか――本来、カグマンの中央、王城に居るはずのサグラスが。


「お二人さん。俺はこの後そこの男神と用があるんだ――大事な内容だから、部屋でゆっくり休んでいきな」

「ああ、うん……」


 急に急かし始めた店主に、シエラが返事をする。

 先程まで疲れを感じた様子だったのに、今度は机を指でこつこつと叩きながら苛々を隠せていない。

 スティーが部屋の鍵を受け取り、シエラはサグラスに背を向けて廊下を渡る。

 そして、姿が見えなくなった時――「行ったな。早くしろ変態神が」という言葉を聞いた。


「ん~? 急に態度変えて変な店主だったね」

「確かに、そうですね」


 浴槽のある別室から、宿部屋に移動する時の事である。


「おい、もっと強くやれ……」


 スティーは店主とサグラスの声を聞いた。


「やる気あんのか?」

「――ぷはっ! ごめんよ~……なら、自分で動かしてみるかい? グラン。きっと気持ち良いよ」

「ケッ――女王が泣くぜ?」

「勿論、帰った後セイラともするさ……さっきはバレるかと思ってひやひやしたなあ」

「興奮してたろ」

「背徳感が気持ちよくてね――思い出したら、もっとしたくなっちゃったな」

「おう、今からは容赦しねえ。ほれ口開けろ――ああ、今日はちゃんと女神なんだろうな? 朝までがっぽりだから覚悟しろよ。おらっ」


 何とも意味深な会話――スティーにはよく分からなかったが、見ては良くない気がして彼女は差し足忍び足と、音を立てず部屋に戻った。


「シエラ様――明朝までは部屋を出ない方が良さそうです。見ては駄目な気がします」

「え? どういうこと……」

「とりあえず寝ましょう」


 スティーは何が起こっていたのか分からないまま、ただただ空気を読んだ。


サグラス (ニゲラの月八日)天気 ☀ 今日はおんな

今日は、ふくろうていでらんぼうだとゆうめいなグラン君と

いっぱいなかよくしたよ。

おきゃくがすくないから、一日中なかよくできるとおもったけど

かあさまが来てびっくり! なかよしごっこがばれるかとおもって

どきどきしたけど、それもそれでいいかもしれないとおもったよ。

おしろに帰ったら、およめさんのセイラとむすめのシアラにたくさん

おこられて、けられ、なぐられました。ものたりなかったので

もっとやってほしかったです。

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