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風の吹くまま、気の向くまま。  作者: sugarpot
【ソロじゃないけど、おまけ篇】
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Oh,crazy!【某月某日 ハワイ島】


キラウェア火山を見に行くのに車を借りた。

母が運転、私は助手席、弟は後部座席。

ハワイ島は街中はとても街だが、一歩外れるとめっちゃ田舎。(言い方。)

これ2車線? ほんとに2車線? みたいな微妙に狭い道路が

山の中をくねってたり、

逆に平たーいなにもなーいところを広い道がまっすぐ1本通ってるだけだったり。

そして驚くほど他の車に会わない。

朝からホテルを出発して火山をぐるーとめぐってお昼食べて帰路についたが

助手席の私はめっちゃねむくなっていた。

おそろしいことに、運転席の母も。


で、山の中のくねった道を走ってる時、山肌に激突した。

幸いにも崖に転落じゃなく、壁みたいになった斜面に突っ込むほう。

その時私は起きてたが、

いきなりハンドル切って突っ込むから超びっくり。

母がすぐに我に返ってブレーキ踏んだものの、

人は無事だったが車はへこんだ。

これは保険会社にまず電話だな。と思ったが

山の中でケータイ電話が通じない。まじか。


これまた幸いにも、近くにぽつんと一軒家があった。

斜面がゆるくなってるなだらかな坂状の土地に広いお庭と家庭菜園があって

いちばん奥に家が見える。

お庭にはバーベキューとかホームパーティーとかできそうな

屋根付きで長テーブル長椅子が置かれたところがあって

(こういうとこ外国っぽい)

10人くらいかな、友達とか親戚とかの集まりっぽいひとたちがそこにいた。

休日の素敵な昼下がりのにぎやかな団らん。


母は英文科卒で英語得意だとむかしさんざん言ってたくせに

まるっっきり英語を話さない。

弟はそもそも英語をしゃべる気がない。

オレだって別に流暢なわけじゃないわ! 全然喋れんわ! と思うのだが

あいつひとりで海外行ってんだぜ

喋るよな当然だよなやるよな? と彼らは信じて疑わない。

しかたがないので

I have car accident、

Can I Use Telephon?

とかなんとか、超適当な単語並べて単身そこに入っていった。

Car accident?! つって

一家のお父さん(たぶん)は超驚いてたけれども、

何処?! って聞いてくれて警察を呼んでくれて

当然のように電話を貸してくれた。


保険会社は日本語オッケー。

んじゃレッカー車手配しますー

でもそっちに着くまでに40分くらいかかるかもですーとか言われ

えー。と思ってたら、警察到着。

あんたひとり? 怪我してない? とか言われたんだろうけど

うまい返事が思いつかない。

まごまごしてると、警官の兄ちゃんは医者のよーに手を握り、ぽんと肩をたたき、

うん、怪我はなさそう大丈夫。て感じでにかっと笑った。

そしてとりあえず車のそばに待機してた母と弟と合流。

車の状況も説明してくれたようなのだがよく分からず、まごまごしてると

うん。まぁ大丈夫。だけど車のそばにいるのは危ないから

ここの家で待機してて。と言われたぽい。

ついてきてくれてたお父さんもおいでおいで、って言ってくれた。


けどこの家、今日まさにお子さんの誕生日会をおこなっていた。

うわーうわーごめんー。


誕生日のごちそうとケーキが並んだお庭の長テーブルの一角に案内され、

なんの縁もないサンキューとソーリーしか言わない外国人3人に

ごちそうばかりかケーキまで分けてくれて、

でも子供がいっぱいいてどの子の誕生日かわからんかった。(最低。)

ケーキはスカイブルー(!)のクリームがぴっちり塗られた

四角いひらたい大きなケーキで、

味は甘くて、生クリームだな。くらい。何味とかわからん。

これがアメリカのスタンダードなのか。


興味津々に、でも遠巻きに眺める子供たちを前に、

千代紙とか日本っぽいもの持ってくればよかったーと後悔した。

誕生日なのにプレゼントになりそうなものもないし喋れるほど英語力もない。

こういう時コミュニケーションとれないのはもったいない。

せめて日本ぽい技を見せようと思って

テーブルにあった白い布のナフキンで鶴を折ってみた。

(一般家庭に食事用のナフキンがあるなんてすげー外国っぽい。)

子供たちは遠巻きに私を見ながら、

Bird? Oh,crazy! ってささやきあってた。

‥‥それはすごいって意味? 変なやつって意味?


そしてしばらくしてからレッカー車登場。

どうして私はThank you以外の単語を知らないんだと思いながら

にこやかに送り出してくれたご家族に別れを告げ、

レッカー車の助手席とその後ろに乗せられて

無事ホテルに帰還となった。


プロで地元の人が運転してくれる車はめっちゃ早くて安心で快適だった。


父が死んだ後、そのささやかな保険金と遺産を使って

母と弟と3人でツアーでハワイ島に行きました。

うらやましがる父の顔が見える気がしますが

さっさと先に行っちゃったのは父の方なのでしかたない。

父の退職金で4人で行くっていう手もあったのに。

(どっちにしろお金は父持ち。)


エジプト篇の時と比べれば、旗振りおねーさんこそいないものの

それなりにしっかりツアーで

天体望遠鏡のある山で星空見たりコーヒー農園行ったりもしたものの、

人に雑談として話せる程度に覚えてるのはこれくらいしかありません。

(レンタカーもフリープランでツアー経由で手配してもらったものでした。)

ひとと一緒に行くと日記的なものも書かないので

もはや何年何月のできごとだったかもあやふや、

写真は撮った気がするけど行方不明というていたらくです。


この時はスカイブルーのケーキがだいぶカルチャーショックでしたが、

いまやインスタ映えのレインボーなケーキやスイーツが普通にあるんですから

時代も変わるもんです。

日本もようやくアメリカに追いついてきたということか。(違う。)


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