颯爽とひとり旅【20XX/08/16 パリ-レンヌ-モン・サン・ミッシェル】
夜中、雨が降って雷が鳴った。かなり近くに落ちたらしく派手な音がした。
朝、食堂に行くとオーナーさん(たぶん)がいた。
部屋に電話くれて朝ごはんタダにしてくれた人。
朝ごはんはJapaneseかFrenchかどっちがいいかと聞かれ、
Japaneseと答える。
Do you like 納豆? と聞かれたので
Yesと答えてDo you? と聞いたら彼も好きだと答えた。
で、Suprisse! とか言われてホントに納豆出てきた。びっくり。
東京から来たの? 社会人? 学生? とか聞かれて、
ものっすごい簡単な単語で答えて、日本行ったことある? と聞いてみて、
新宿に行ってお酒飲んだ!と分かりやすく答えてもらって、
それで全部。
この納豆は何処で買ったんだとか聞いてみたかったけどこれ以上は語学力不足。
小腹がすいたとき用に駅でパンを買い、
TGV(フランス版新幹線。たぶん)に乗った。指定席の切符は日本で取得済み。
TGVは想像してたよりずっと高級。シートふかふか。
まさに新幹線。振動もなくてすごく静か。
レンヌで降りればモン・サン・ミッシェル行きのバスがある、という情報と、
そのバスは何時に出る、という情報は知っていた。
が、何処にそのバス停があって何処でその切符を買うのかは
よく分からなかった。ばーっと調べただけじゃ調べきれず、
頼みの綱の「地球の歩き方」にも詳しいことは載ってなくて、
まあいーや行けば分かるだろ。と気楽に構えてたら現実は甘くなかった。
とりあえず駅は出たものの、バス停はいっぱいある。
フツーの市バスっぽいのがいっぱいある。フランス語読めない(致命的)。
観光客の後にくっついていけばいいやと思っても
観光客の見分けがつかない。人多い。
人に聞くにはなんて言ったらいいのか頭の中で英単語必死に検索してたら、
スーツケース転がした日本人ぽいおねーさんが私の近くをよぎり、
流暢な英語で私の近くにいたスーツ姿の男性になにやら聞き始めた。
役に立たないことに、自分で喋ろうとすると言葉出てこないくせに、
人が話すのを聞く分にはなんとなく分かる。
前後の状況と僅かに聞き取れる単語で意味を(勝手に)想像すると、
おねーさんはモン・サン・ミッシェルに行くバスは何処から出ているのかと
聞いているらしかった。
私はなにげないフリを装っておねーさんの様子をうかがい、
彼女の後についてバスの切符売り場に行った。‥‥情けない。
切符売り場は待合室も兼ねていて、観光客がいっぱいいた。
明らかに日本人だらけ。切符売ってるのは機械ではなく人間だったので
one personとかモン・サン・ミッシェルとか繰り返して
往復の切符購入。指定席ではない。
乗り込んだバスはほぼ定刻どおりに出発し、
ものすごいのどかな田園風景の中を走って予定よりちょっと遅れて着いた。
モン・サン・ミッシェル付近がめっちゃ混んでたから。
モン・サン・ミッシェルは陸からちょこっとだけ離れてある、
島というかお城というか軍艦島みたいな感じだ。
よく言われるが確かにジブリの天空の城ラピュタっぽい。
確かもともとは修道院。
昔は干潮の時は歩いて渡れて満潮になると道が消えたらしい。
今は消えない道がある。
その一本道は観光客の車でものすっっごい混んでいた。
バスはモン・サン・ミッシェルの入り口まで連れて行ってくれるのだが、
さっきのおねーさんは同じバスに乗り込んでいて、
一本道の途中で運転士さんに降ろしてもらっていた。
彼女の向かった先にはレストラン兼ホテルみたいな建物がある。
かっこいい。英語ぺらぺらでスーツケース転がして
カジュアルに颯爽とひとり旅。