昔話をしよう(作成中)
この世界……大陸には、イージス王国と、ミルドニア……対立する二つの国が、まるで年中行事のように、血で血を洗う戦争を繰り返している。
なんていうのは、二百年以上も前のお話し。
そんな朽ち折れた剣が無数に刺さった戦場跡を一人の男が歩いている……亡き先祖の霊でもとむらっているのだろうか?
「ちっ、しけてんな……もうここも駄目だな」
いや、遺体から物をはぎとっている!
男の正体は……ラクシー・テンダー(三十歳前後)
イージス王国と、中立国バキアの間に点在する集落をほうろうし……戦場あとや廃墟からゴミくずや遺品を、盗んでは売って生きている
『スカベンジャー』分かりやすく言えば『泥棒』だ!
すまないが視点を、ラクシー・テンダーに交代してもらおう。
『盗み(これ)が褒められたことじゃない』なんて物心はおろか親の顔も知らない赤子の時、孤児院・教会の前に捨てられていた。学のない俺だってわかる……けどよ……『世の中全ては金しだい』だ。
生きるため仕方ないじゃないか!
人殺しや犯罪を犯すよりましだろ?
そんなことより、駄目だなここは。
戦場といっても……二百年前……イージス王国と、ミルドニアで『平和条約』(人質結婚)が結ばれていらい戦争なんてほとんどなく……それから五十年後(百五十年前)バキアが出来てからは……盗賊団との争いしかなく……
今や戦場といえば……キレた地方領主どうしがい起こした争いに巻き込まれた不幸な領民が数人死ぬ程度のレベル。
(って……何さっきから俺ひとりで。自分のおいたちやら、世界のれきしやら、腹のたしにもならない事をつぶやいてんだ……ばかばかしい)
ひとり苦笑いした俺は、慣れた手つきでせっせと、死体には必要のなであろう物をはぎとっては袋に詰めていく……で、一度に運べない分は、全焼して焼け崩れた残骸に隠し……。
日の沈まないうちに俺は、イージス王国がわへ森をぬけて……街道を離れけもの道の先にポツリとたつ『盗品専門の買取屋』へ駆け込んだ。
「よう、爺さん!」
入店一番、景気良くあいさつする俺に、丸椅子に座った老人。
スディ・カウント(八十歳後半)が顔を向け『よっこらしょ』と立ち上がり……カウンターテーブルの前に立つ
「いらっしゃい……って、お前か……ま、出しな」
「今日は森近くの戦場で」
「あ……あそこか」
「知ってるの?」
「もちろんさ……あ~、ラクシー、何度言ったら分かるんだ⁈ う~また血や肉片のついたまま持って来やがって……洗うこっちの身にもなってくれないかい」
「おいおい、鉄くず並みの値段でしか買い取らないくせして、よく言う」
「ふっ……わしも人の事は言えないが……お前も良い年だ……いつまでこんな事つづけるつもりだ?」
「さあな……のたれ死にするまでかな。ははは」
「日雇いで良いいなら……大きな農園……仕事紹介してやるぜ」
「働けか……そんな人の下についたら人生負け組だ」
「耳にタコだね……わしもこの年だ……それこそいつのたれ死ぬか分からん……で……この店。なくなるぞ」
「……おいおい死ぬなんて、えんぎでもないこと言うなよ……考えておく」
冗談交じりで言ったセリフがきっかけか……数年後……流行病か、殺人かせ、ぽっくりと爺さんが死んだ。
(ああもちろん知人が死ぬのは悲しかったさ)
でも……涙を流すよりも俺は『我先に』と、爺さんの店を物色しに駆け込んだ……が、すでに同業者が争奪合戦を始めている。
(同じ穴のむじな……考えることは同じか)
「それは俺のだ!」と取っ組み合いに混ざり……めぼしいものが無くなり……競争相手が去っていくのを見送るたび、笑いがこみあげてくる。
(しめしめ……みんな知らないな……さあ帰った帰った)数分後、気配がないもと店内を見回し。(……よし、頃合いか)
倒れた丸椅子をよけて、床石のブロックをめくる……と……。
「有った……てさげ木箱」
(馬鹿だなあいつら……なぜいつも爺さんがここに座ってるかなんて、少し考えれば分かるだろう)
ニヤリと手を伸ばす俺より先に、横から割り込んできた手が木箱を持ち上げる。
「何しやがる! それは俺が先に見つけ、う!」
怒りあらわに声を上げる俺に『これが返答だ』といわんばかり、鋭い目をした男が、俺ののどもとにナイフを向け、一言。
「……ワイは誰だ?」
(ああ、記憶喪失かと笑ってやりたい。が)
「砂漠の盗賊団……副長……トニー・ワイル(二十歳前半)」
「ふっ……御名答」
『砂漠の盗賊団』は、バキアをこえた先に広がる砂漠のオアシスにねじろをかまえる盗賊団で……ワイルは賊長の息子だ。
付け加えると『砂漠の盗賊団は』その昔、武闘派で名を知られ、奴らが去った後には何もない、まさに砂漠という事から、その名がついたとか。
「なぜ」
「分かったかって……そんなの簡単さ。常連のお前が、武器や食料品を取ってからは、周り(金目の物)には目もくれず床ばかりじっと見て……ひとりになるまで残ってるのが気になってな」
「くそ」
悔しがる俺を、ワイルは鼻で笑うと、ナイフをおさめ、視線を合わせ
「そんなに悔しがるな、ワイも鬼じゃねえ……これを見つけたのは確かにお前だ……だから一割くらいはやる……で……ワイの名のもと……今から、ここはお前の隠れ家にしたらどうだ」
「わ、悪くない」
(おさめたナイフ以上に鋭い目を向けられて……)
「よし、そうと決まれば」
と言うなりワイルは木箱のふたを開け……適当わしづかみに金や宝石をカウンターへ置くと、ふたを閉め
「これで良いな」と立ち去ろうとする。
「ちょっと待て」
「何だ」
「数えないのか?」
「するか、面倒くさい……おっと。ワイが居なくなったら数えだせ……で、思った以上に、有ったならお前の勝ち、無ければ俺の勝ちってのはどうだ」
「ばくち好きな、ワイルさんらしくていいと思う」
「ふ。じゃあな……いつかまた会うかもな」
走り去るワイル……今度こそ一人になった俺は、カウンターに散らばったものを数えだす…………一割といっても結構な金額があった。
(これだけあれば……おっと爺さん、化けて出らず、成仏してくれよ)
「う~ん」
(この金も……いつかはなくなる……どうする?)
俺はひとり『脳内会議』を始める。
カジノに行って増やすか? ……馬鹿が、そんなの負けてすぐに無くなる。
投資するか……学のない俺には無理だ。
爺さんの言ったとおり、仕事を見つけるか…………はは。結局それしかないか。
(でも俺みたいな、すじょうの知らない人間……イージス王国じゃ無理だ……バキアで新しい商売を始めるにもアイデアがない……はは、ミドルニアで鉱山労働か)
ミルドニアに向かう途中、バキアによって、生き方変えた記念に何か買おう。
俺は、隠れ家になったもと店内と看板をかたづけ……一路バキアへと向かった。
後書きまで読むなんて、ごくうろうさん、ありがとうな!
でだ
『メガネ君先輩のたんじょう』
第二部『昔話をしよう』
どうだった? この先も俺みたいな人間の人生を見てくれるんなら、是非とも
ブックマーク ・ ☆一つでも、評価をくれると
とてもうれして、元気が出るぜ……よろしくお願いします。
by.ラクシ-テンダー(主人公)