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勇者パーティーから追放された雑用係は全てを呪う復讐者に、なりません。  作者: 水無月 黒


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第七十七話 最強の守護者と戦います(前編)

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 「では、行くぞ!」

 アレクの合図とともに、僕たちは室内に雪崩れ込んだ。

 先頭を走るのはアレク。カレンさんもその横に並ぶ。

 本当は、第九階層でやったように不意打ちで倒せればよいのだけれど、さすがにそこまで甘くはない。

 「シャギァァァーー!!」

 「ガゴオォォォーー!!」

 「グルラァァァーー!!」

 三つの首が同時に雄たけびを上げた。

 ……守護者(ガーディアン)はモンスターでも、生き物ですらないと思うのだけど、何で叫び声を上げるのだろう?

 もしかして、最初は脅して侵入者を追っ払うように命令されていたのかな?

 けれども、当然ながらアレクもカレンさんも怯まない。

 アレクが右から、カレンさんが左から守護者(ガーディアン)に肉薄する。それに対応するように、守護者(ガーディアン)の左右の首がアレクとカレンさんに向かった。

 ――ガキーン!!

 凄い音を立ててアレクの聖剣とカレンさんの大剣が守護者(ガーディアン)の頭とぶつかり、そして離れた。

 「くっ、斬れないか。」

 「えらい、硬いやんか!」

 白い守護者(ガーディアン)の装甲をも斬り裂いたアレクの聖剣でも斬れない。それに、カレンさんの大剣はたとえ斬れなくても鈍器で殴ったような衝撃が入るはずなのに、ダメージを受けている様子が無い。

 これは相当に防御力が高いみたいだ。

 「『落雷(サンダーボルト)』!」

 アレクとカレンさんが離れたタイミングで、エレノアさんの魔術が炸裂した。機械仕掛けならば雷撃は効くはず!

 「キシャァァァーー!!」

 え、嘘、効いていない!?

 それどころか、先ほどの迎撃に参加していなかった中央の首が、ブレスを放ってきた。

 「『神の盾(イージス)』!」

 アリシアさんが防御用の魔術でブレスを防ぐ。あれは確か、聖女専用の魔術で物理攻撃も魔術攻撃も防ぐ強力な防御魔術だったはず。

 あの守護者(ガーディアン)は遠距離攻撃も相当強力そうだ。どうでもいいけど、ブレスというより怪光線に見えるんですけど!

 「強いな。」

 「せやな、ここまで攻撃が通らん敵は初めてや。」

 「だが、本当に全ての攻撃が通じないとは限らない。試してみるか?」

 「当然や!」

 アレクもカレンさんもまだまだ諦めていない。左右に分かれて果敢に斬りつける。

 「『水球(ウォーターボール)』! 『風刃(ウインドカッター)』! 『炎矢(フレイムアロー)』! 『石弾(ストーンバレット)』!」

 エレノアさんは、小規模な攻撃魔術を種類を変えて連発している。たぶん、効果のある魔術を探っているのだろう。

 守護者(ガーディアン)の攻撃パターンもだんだん見えてきた。接近戦では頭から突っ込んで来る頭突きと牙による噛みつき攻撃、遠距離攻撃としてはブレス。

 攻撃はほぼ全て三本の頭で行っている。

 軍用兵器として考えれば、ブレスが主砲なのだろう。予備動作が大きめなので、アリシアさんが的確に防いでいるけれど、使用しているのは聖女専用の強力な防御魔術だ。並の魔術師では防げないだろう。

 ブレスは連発できないようで、散発的にしか撃ってこない。そうでなければアリシアさんでも魔力切れを起こして早々に撤退するようだったろう。

 接近戦闘は接近してきた敵を追っ払うための補助的なものだろう。けれども十分に脅威だった。アレクの聖剣でも斬れない頑丈な頭部が突っ込んで来るだけで、生身で受けるには危険すぎた。

 アレクもカレンさんも守護者(ガーディアン)の攻撃をきっちり避けきったうえで、反撃に斬りつけることまでやってのける。この二人だからできることで、僕がやったら避けきることも難しい。

 けれども、その二人の攻撃でも、守護者(ガーディアン)には傷らしい傷も付けることができない。普通の攻撃は通用しないと思った方が良さそうだった。

 「ほな、そろそろ行くで!」

 このままでは埒が明かない。そう判断したのか、カレンさんが仕掛ける。

 ブレスを吐こうと持ち上がった首に対して――

 「衝破撃(ソニックストライク)!――うわぁっ!」

 大きく開いた口に向けて放たれた衝撃波が、突然その口を閉じられたことにより顔面で受け止められた。そしてそのままカレンさんへと跳ね返ってきた!

 「カレン!」

 アレクが慌てるけど、アレクの方もドラゴンの頭を相手に攻防を続けており、手が離せる状況ではなかった。

 しかし、カレンさんは自分の放った衝撃波でダメージを受けながらも、転がるようにして間合いを開け、守護者(ガーディアン)の首の間合いから離脱した。

 「『回復(ヒール)』!」

 すかさずアリシアさんが回復し、カレンさんは立ち上がった。幸い、衝撃波が分散されてダメージ自体は大きくなかったようだ。体のあちこちから血が出ていたが、大きな傷はなかったらしい。

 「まさか、口ん中まで硬いなんてな。そやけど、手ごたえはあったで!」

 よく見れば、カレンさんが相手をしていたドラゴンの首は、口からうっすらと煙が漏れていた。

 そうか、いくら頑丈に作られていても、ブレスの発射孔までは同じ強度とはいかなかったのだろう。口を閉じる寸前に入り込んだ衝撃波がそれを破壊したのだ。

 「ほんじゃ、もうひと頑張りしてきますか。」

 カレンさんは大剣を手に、再び守護者(ガーディアン)に向かって行った。


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