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勇者パーティーから追放された雑用係は全てを呪う復讐者に、なりません。  作者: 水無月 黒


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第七十四話 古代遺跡を探索します7

評価及びブックマーク登録ありがとうございました。

累計Pvも六万を超えました。ありがとうございます。

 「今後の探索方針が決まった。」

 数日後、アレクが皆を集めてそう言った。

 勇者アレクのダンジョン探索は、第十階層に到達したからそれで終わるわけではない。それで終わるのならば魔王エグバートを倒して時点で終わっていた。

 魔王がいなくなってもダンジョンは今だこの国の脅威として残っていた。

 実はエグバートは国を守るためにダンジョンを作ったことが判明したわけだけど、それはそれとしてダンジョンのモンスターは危険だ。それにエグバート自身の意識もすでに無くなっていただろうという話だったしね。

 そして、そのダンジョンの先、というか王都の地下には、それ以上の脅威が眠っている。

 かつてこの辺り一帯を死の大地に変え、邪竜の伝説を生み出した膨大な瘴気。その発生源であり、今なお大量の瘴気を生み出し続けている何かがあるのだ。

 アレクが頑張ったから、ダンジョンの探索もだいぶ進んだし、邪竜に関する情報も集まってきた。

 一人の勇者として十分な成果は上げているから後は後代の者に任せてもよさそうに思えるけど、アレク並みの勇者が次にいつ現れるかは分からない。

 アレクが頑張れるうちに色々と探索を進めておくつもりなのだろう。ダンジョンにはまだまだ未探索の領域が多いからね。

 「王都の地下にある古代遺跡を探索して、瘴気の発生源を特定。可能ならば瘴気の発生を停止または抑止することを目指す。」

 ……やっぱり、この先は後代の人に任せませんか!? 最悪、邪竜と御対面しそうな予感がするんですけど!

 「ちゅうことは、また第十階層まで降りて行くんか? たいへんやな。」

 カレンさんはそのへん特に脅威に思わないのか、ダンジョンを踏破する面倒さを問題にする。

 魔王を討伐した初回と、二度目の第十階層探索となった前回はかなりあっさりと第十階層まで辿り着けたけど、次も簡単に行くとは限らない。

 むしろ二度も第十階層まで到達できたことが奇跡的だった。

 「いや、王宮の地下にある入口から直接古代遺跡に入る。」


 王宮の下には古代遺跡への入口がある。

 僕たちは偶然発見した建国王ルーカスの記録を見て知ってしまったのだけれど、これってアルスター王国と王家が建国以来秘密にしてきた国家機密だったんだよね。

 だから、王宮に招かれる国外の要人や出入りの業者はもちろん、王宮の隅々まで管理する使用人や国の要職に就いている貴族ですらその存在を知るものはほとんどいないのだそうだ。

 何しろ、古代遺跡内でちょっと操作するだけで王都ロシュヴィルを瘴気で満たすことができるからね。国の存亡にすら関わる秘密だった。

 これまですぐそばにありながら、この古代遺跡の探索が行われたことはほとんどなかった。探索可能なメンバーが限られてしまうせいだった。

 王都の地下に眠る古代遺跡にモンスターは出ないけど、守護者(ガーディアン)が存在することは判明していた。建国王が逃げ出したあれだ。

 だから探索するにはそれなりに腕の立つ人間が必要だ。けれども探索のプロである冒険者に依頼することはできなかった。国家機密を教えられるほど信頼できる冒険者がまずいないということに加えて、ただの冒険者が頻繁に王宮に出入りするとそれだけで色々と勘繰られてしまうのだ。

 かつてはもう一箇所の古代遺跡への出入口――たぶん勇者ローランドが入って行ったところ――から極秘裏に探索を行っていたのだそうだけど、それも三百年前にエグバートが塞いでしまい、それ以来古代遺跡の調査は途絶えていたらしい。

 僕たちは三百年ぶりに古代遺跡を探索した人間ということになる。

 そして、現在古代遺跡の探索を行える最適の人間になってしまった。

 何しろアレクのパーティーはダンジョンの最深部まで行って戻って来れる実力がある。偶然とはいえ国家機密を知ってしまい、隠しておく必要が無くなった。この国の王子であるアレクの仲間なのだから、一緒に王宮に行っても別に不思議ではない。

 ダンジョンの(トラップ)以上に逃げられないんですけど~!

 そんなわけで僕たちはアレクに連れられて王宮に来ていた。

 まあ、アレクパーティーの一員として王宮には既に何度か来ているのだけれど、今回やって来たのは式典を行った謁見の間でも前回報告会をした会議室でもなかった。

 国の最重要機密だけに、普段から王宮にて出入りしている貴族でも間違っても入り込めないような場所に、古代遺跡への入口は作られていた。

 僕たちがやって来たのは、王宮の宝物庫。

 うん、「間違って迷い込んでしまいました」という言い訳が一切通じない場所だ。

 宝物庫に入り、左右に並ぶ国宝の数々を横目に見ながら奥へと進む。

 王宮の宝物庫には、ただ高価なお宝だけではなく、世間に出すには扱いに困るようなものも収められているそうだ。使い手を選ぶアレクの聖剣もそうだし、使い時に悩むエリクサーもそうだ。エグバートがダンジョンを作る際に使ったミスリル貨なんかも宝物庫に納められていたものだ。たぶん、ダンジョンで見つけたミスリル鉱石もどこかそのへんに置かれているだろう。

 そして最も扱いに困る古代遺跡への入口もまた宝物庫にあったわけだ。

 正確に言えば、宝物庫に古代遺跡の入口があるわけではないらしい。アレクは宝物庫の奥まで進むと、扉を開けてその先へ入って行った。

 そこは、宝物庫の清掃などを行う際の道具類が置かれた物置部屋だった。高価なものがないことは一目でわかるので、宝物を狙う賊がやって来ても目もくれないだろう。

 その質素な部屋の床に、地下の遺跡へと続く通路の入口が隠されていた。

 ただの床に偽装されていた隠し扉を開け、その地の底へ続くかのような階段を、僕たちは下って行った。


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