第六十七話 古代遺跡を探索します3
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「……」
なんだか、色々と反応に困るくらいにとんでもない記録を見つけてしまったみたいだ。
「……これは、勇者ローランドの邪竜討伐の記録、なのだろうな。」
最初にローランドと呼ばれていたし、そう考えるのが自然なのだけど、アレクもちょっと歯切れが悪かった。
「せやけど、邪竜おらへんかったな。」
それが最大の問題だった。カレンさんも、アレクも、勇者ローランドの記録から邪竜と戦うための情報を引き出そうと思っていたのだろう。その当てが外れてしまった。
それにしても……伝説というのはあてにならないものだ。僕たちはずっと「勇者ローランドが邪竜を倒した」と聞いて育った。しかし、実際には封印しただけで邪竜は倒されたわけではなかったという。
それでもエグバートや建国王ルーカスの記録では、勇者ローランドは邪竜を封印したことになっていた。けれども、ローランドの記録では瘴気の流出を止めただけで邪竜とは出会ってもいなかった。
もしこれが公表されたら、混乱する人も多いのではないだろうか。
「勇者ローランドはその後も遺跡の調査をしただろうから、そこで邪竜と対峙したかもしれない。そんな記録が出て来ることに期待するしかないな。」
記録の中の勇者ローランドはそのまま引き返したが、一度きりの探索で終わりというわけにはいかないだろう。その後また様子を見に戻って来たはずだ。何度も探索していれば邪竜と遭遇していても不思議ではない。
「それからもう一つ気になるのが、守護者らしきものだな。」
これもまた懸念事項だった。二ヵ所の出入口を王宮とダンジョンで塞がれ、食べ物もろくにない古代遺跡に魔物が居ついているとは思えない。知られていない出入口があって動物が入り込んできたとしても、高濃度の瘴気が無ければ魔獣化する心配もないだろう。
しかし、相手が守護者ならば、このまま探索を続けていればいずれ遭遇する可能性は高い。
先ほどの映像は、この遺跡に出現する守護者の数少ない手がかりだった。
「白いのと黒いのがおったな。」
「外見も能力も全く異なっていましたが、どちらも守護者なのでしょうか?」
「おそらくどちらも守護者。古代遺跡には目的別に複数の種類の守護者が置かれることもよくある。」
この辺りはやはり博識なエレノアさんが頼りになる。
「白い方はたぶん防御力を重視したもの。部外者の侵入を防ぐための警備用と思われる。」
メカっぽい外見だったし、かなり頑丈にできているのだろう。使用した武器もネットと警棒のようなものだったし、人を殺害せずには追い出すためのものかもしれない。
「黒い方は敵を倒すことを重視したものだと思う。能力も行動パターンも敵を殲滅するためのものになっている。」
記録で見た限り、動きは素早く、爪の攻撃力も高そうだった。何よりいきなり殺しに来る攻撃性の高さが危険だった。
勇者ローランドが勝てたのは、ローランドが強いかったいうだけでなく、白い守護者のような強固な装甲がなかったことも大きい。
たぶん、機動力を重視して重い防御を捨てているのだろう。
「倒された後に核らしきものを残して消滅したが、モンスターとは違うのか?」
そう、それも気になる点だった。アレクのみならず、皆が疑問に思っていることだろう。
古代遺跡はダンジョンではない。古代遺跡風のダンジョンも存在するが、基本的に古代遺跡とダンジョンは別物だ。エグバートがダンジョンを作るよりもはるか以前の時代に、古代遺跡にモンスターが出現するのはおかしかった。
「古代遺跡でも、死骸が消滅するモンスターのような守護者が確認されている。古代文明がダンジョンのモンスターを模したのか、あるいはダンジョンそのものが古代文明によって生み出されたと考えられている。」
やはり、両方とも守護者らしい。しかし、ロボットのようなものにモンスターに似たものが同じく守護者だという。古代文明の技術の方向性はよく分からない。
「しかし、どちらの守護者も建国王が絶対に勝てないと判断するほどではなさそうなのだが……」
アレクが不気味なことを言う。でもそうなんだよね。白いのは見るからに鈍重そうだし、黒い方の爪は凶悪そうでも、動きの素早さと攻撃性の高さは戦ってみないと分からない。
安全のために撤退することはあるにしても、全滅するとまでいうのは相当な数がいたのか、それとも――
「古代遺跡の中でも、特に強力な守護者は数が少なく、特に重要な場所に配置されてそこから動かないことが多い。」
やっぱりさらに強い守護者とかも想定する必要がありそうだった。
僕たちは、情報を得た白と黒の守護者への対策を簡単に打ち合わせて、探索を続けた。




