閑話 作者の見た夢
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……ん?
ああ、夢か。
夢の中でまで物語を考えているのだから、俺も仕事熱心だな。まあ、書籍版は終わったからもう仕事ではないが。
それとも早く続きを書けという神の声か? 書籍化の作業で忙しかったことと、次章以降のプロット作りに難航して、長いこと更新が止まっているからな。
それにしても、奇妙な夢だったな。グレッグが復讐者にならないIFストーリーか。それじゃあ、話が始まらないだろう。
それに、グレッグだけじゃない。他のキャラも性格変わっているし。
アレクが普通に勇者やってるよ。酒と女に溺れるはずが、酒に弱くて好意に鈍いハーレム体質って、どこの主人公だ?
淫乱処女ビッチ聖女のアリシアから、淫乱とビッチを取ったらただの聖女じゃないか。行動も控えめだからなんか影が薄くなっているぞ。
守銭奴カレンが孤児院に寄付だって……まあ、ありと言えばありだな。カレンが守銭奴になった理由は明確にしていなかったし。
とりあえずエイプリルフールネタにとっておいた、「秘密の研究所にカレンの膨大な資金が流れていて、ホムンクルスによるカレン軍団が現れる」という話は止めておくか。
エレノアはイヴァンと立場が逆になっているし。でも、さして違和感はないか。元々エレノアは善悪関係なく興味本位で動く性格だし。しかし、ダンジョン病の治療薬か。危ない薬の人体実験としか書かなかったが、その目的は難病の治療というのもありそうな話だな。
後は、ミーナがアレクの奴隷になっているよ。しかも最初から本名で出ているし。まあこの場合わざわざ名付ける必要ないから当然だけど。
ああ、そういえばミーナの本名公開イベントを入れ損なっていたんだっけ。
自動人形のロザリーが感情に目覚めるイベントのボリュームが大きくなりすぎて、メインのストーリーが止まっていたのだから仕方がない。
ミーナが本名のジェシカに戻るのは、奴隷であることを辞めて、それでもグレッグに寄り添う決意を見せる重要なイベントだ。中途半端な真似はできない。
やはり次の「魔王編」ではミーナイベントは必ず入れよう。「魔王編」はグレッグの中に潜伏していた魔王エグバートが再びグレッグの身体を乗っ取ろうと動き出す話だ。
復讐を終えて強い憎しみを失ったグレッグが再び魔王に抗うにために、ミーナの絆と献身は大きな役割を果たす。よし、これだ。メインストーリーともばっちり絡む。
バランス的に、アンデッド代表のカトレアのテコ入れも必要かな。ちょっと影が薄くなってきたし。
あ、そうだ! 夢で見たまともなアレクやアリシアが本当の姿だったことにするというのはどうだろう?
横柄で傲慢なアレクの姿はグレッグの内に潜んだ魔王によって認識を捻じ曲げられたことにすれば、色々と辻褄は合わせられるだろう。
……駄目だな。グレッグは既に復讐を果たしてしまっているんだ。実はアレク達は善人だった、ということになったら救いがない。特に書籍版の痛快復讐劇を全否定してしまう。
やるならば、夢で見たようにグレッグが復讐者にならないか、復讐に失敗するくらいに改変しないと。しかし、それだともう完全に別の話だな。
うーん、せっかく面白い夢を見たのだし、何かに活かせないかな。こんなにはっきりと憶えている夢も珍しいし。
ああそうだ、アレクではなくエグバートの方を善人にしてしまおう。王都ロシュヴィルを守るために犠牲となったのにその事実を隠蔽し、魔王と呼んで諸悪の根源扱い。挙句の果てには軍や冒険者を送り込んで討伐しようとする。
これならば勇者アレクやアルスター王家を恨んでいてもおかしくはない。魔王エグバートがアルスター王家を滅ぼそうとする理由としても十分だ。
「魔王編」の中に魔王の過去話を入れるか、「過去編」として独立して一章作るか。
後は、ダンジョンの各階層についても取り入れたいな。正直アンデッド絡みとアレクの復讐イベントで活躍した第三階層と、最初のグレッグ追放イベントで使った第十階層以外はろくに設定も作っていなかったからな。
せっかく特徴的なダンジョン内の様子を夢で見たんだ、忘れないうちにメモしておくか。
第四階層なら花畑とか作ってデートスポットにできるな。
第五階層は貴金属や宝石が採取できるから、プレゼントでも作るか。
第六階層は当然水着イベントだ。アンデッドが海水浴というのもアレだが。
第七階層はモンスターが個性的だな。猛牛戦隊とかオーガ5とか、ネタに走りそう。
第八階層では空中遊覧といったところか。飛竜とかロック鳥とかなら人を乗せて飛べるだろう。
第九階層は巨大怪獣か。正直使い道がないな。全面戦争を起こすならば戦力になるだろうが、その予定はないし。
それにしても、第十階層の先というのは気になるな。どうにか続きの夢を見られないものだろうか。
何だかメタフィクションで、しかも時系列がねじれていますが、この作者は本編に絡まないので気にする必要はありません。




