表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者パーティーから追放された雑用係は全てを呪う復讐者に、なりません。  作者: 水無月 黒


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/84

第三十六話 死のポーターに挑みます

2021/06/12 誤字修正

誤字報告ありがとうございました。

 色々あったけど、無事ダンジョンの探索を再開することになった。

 今回狙うのは第五階層の未踏領域。第五階層は既知の地図(マップ)よりも空白地帯の方が多い階層だ。

 第五階層は、第四階層から降りてきた際の『ポーターの出口』から、最寄りの昇り降りの『ポーター』までの道が一部しか判明していない。そもそも全ての『ポーターの出口』が判明していない状態なのだ。

 つまり、第五階層に到着した瞬間から未踏領域にいる可能性も高いのだ。このため第五階層は最前線と呼ばれ、未踏領域の探索ができる極限られた高ランクの冒険者しか踏み込もうとしない危険な場所だった。

 まあ、アレクならば問題ないでしょう。元から未踏領域を探索するつもりなのだし。

 ただ、第五階層あたりから目的の階層まで行くのが手間になって来る。

 一階層ずつ降りて行かなければいけない上に、『ポーター』はどこに出るのか分からないから、一階層降りる毎に次の階層へのルートを探さなければならない。特に第四階層なんか、場所によって迷いやすかったり、敵に見つかりやすかったり、『ポーター』までエリアを越えて大きく移動しなければならなかったりといろいろ面倒なことも多い。


 ダンジョンの階層を順次下って、第三階層まで来た時のことだった。

 「あっ、ここからなら『死のポーター』に近い。」

 「死のポーター?」

 「なんや、物騒な名前やな。」

 『死のポーター』それは第三階層の『降り5番ポーター』に対する通称だった。4番でないのが残念、などと言ってもここは日本でないので通じない。

 冒険者ギルドでは昔から『ポーター』の法則性を見つけようと躍起になっていた。そのかいあって、浅い階層ではある程度の傾向は分かっている。

 第一階層から第二階層に降りる場合、どの『ポーター』を使ってもだいたい第二階層全体に均一に出現する。この性質のため、ダンジョンに攻め込んだ国軍は効率よく散り散りにされた。

 第二階層から第三階層に降りる場合、第三階層側の『ポーターの出口』は階層の中央に集まっているのだけれど、第二階層の北側の『ポーター』からは第三階層でも北側の出口に出やすいといった傾向がみられるらしい。

 第三階層から第四階層に降りる場合、どこに出るかはだいたい均一なのだけれど、『ポーター』によって多少ではあるけれども出やすいエリアにばらつきがあるらしい。第四階層に向かう冒険者は少しでも自分の目的のエリアに出やすい『ポーター』を選ぶ。

 このように、冒険者からの情報を集めて『ポーター』と『ポーターの出口』の関係を長年調べていたわけであるが、第三階層に一ヵ所、どこに出たのかと言う記録が全くない『ポーター』が存在した。

 それが『降り5番ポーター』である。

 特に辺鄙だったり危険な場所にあるわけでもない『ポーター』が全く使用されないというのも不自然な話である。となれば、記録がないのはこの『ポーター』を使用した者が全員第四階層で死んでしまったからではないかと噂されるようになった。

 それ以来、第四階層に向かう冒険者達はこの『ポーター』を『死のポーター』と呼んで避けるようになり、余計にどこへ出るのかが不明のままとなり現在に至る。

 「なるほど、そういうことならば行ってみるか。」

 はい、アレクならばそう言うと思っていました。

 僕の説明を聞くと、アレクは即座に『死のポーター』を使用することを決めた。アレクの目的からすれば、そのようなダンジョン内の不審なものは確認しておきたいところだ。

 ダンジョン一般の性質として、絶対に脱出不可能な一方通行は存在しないというものがある。一方通行の移動手段である『ポーター』で移動した先を出口のない閉鎖空間にしておけば、その『ポーター』を使用した冒険者は二度と帰れないのだけれど、そのような構造を持つダンジョンは存在しないということだ。

 これは、経験則ではあるものの、他国のダンジョンでも例外のないダンジョンの仕様だった。あの『リチャードの(トラップ)』でも閉じ込めっぱなしではなかった。

 そもそもフィールド型の第四階層は冒険者を閉じ込められるような構造ではないし、致死性の(トラップ)もほとんど存在しない。となれば、帰れなかった冒険者はモンスターに殺された可能性が高い。

 もしも『死のポーター』が強いモンスターがわんさかいる場所に送り込む(トラップ)であっても、アレクならば生還できるだろう。所詮は第四階層のモンスターだし。既知の地図(マップ)から遠く離れた未踏領域に出たとしても、戻って来れるだけの食糧等は持ってきている。

 『死のポーター』を避ける必要は無かった。


 「……常にここに出るのならば、『死のポーター』と呼ばれるのも頷けるな。」

 第三階層の『降り5番ポーター』を通った先は、砂漠の真ん中だった。

 「えーと、ここは砂漠エリア、中央西寄り。東に少し進めばオアシスがあるはずだよ。」

 僕はざっと周囲を見回して現在位置を推定する。しばらく前までさんざん探索していた場所だ。見間違えるはずがない。

 「近くにはいないけど、どちらに向かってもモンスターが待ち構えている。」

 僕よりも広範囲の『生命探知(ライフディテクション)』を使えるエレノアさんが周囲を探った。砂漠のモンスターは砂に隠れて居るので目視では見つけにくい。

 そう言えば、砂漠エリアを探索中にもなぜかモンスターの全然いない場所とかあったけど……それがここ、『ポーターの出口』だったわけか。

 アレクの言うように、あの『降り5番ポーター』が毎回砂漠の真ん中に冒険者を放り出すのなら、死亡率が高いのももっともな話だった。

 砂漠エリアは第四階層でも一二を争う厳しい場所だ。事前の準備と地図(マップ)、そしてモンスターの情報がないと普通の冒険者パーティーでは脱出は難しいだろう。

 そういう意味でも、アレクの行った砂漠エリアの探索の意義は大きかった。現在『死のポーター』を使おうと思う冒険者はまずいないだろうけど、砂漠エリアの真ん中に『ポーターの出口』があること自体が問題になる。他の『ポーター』からも低確率でここに出てくる可能性もあるのだ。

 まあ、別の危険な未踏領域にも『ポーターの出口』があるかもしれないからまだまだ油断できないのだけどね。

 「せっかくだから、オアシスの『ポーター』から第五階層へ行こうか。」

 アレク、自分で発見した『ポーター』に一番乗りである。こんなにも早くもう一度ここに来るとは思わなかったよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ