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勇者パーティーから追放された雑用係は全てを呪う復讐者に、なりません。  作者: 水無月 黒


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第二十九話 第四階層の探索を始めます

ブックマーク登録ありがとうございます。

 「次のダンジョン探索では、第四階層の空白地帯を目指す。」

 翌日、アレクはそう宣言した。レオンハート殿下に呼び出されて行った先で、今後の探索の方針についての打ち合わせがあったらしい。

 「第三階層の探索はこれから活発になるだろうというのが冒険者ギルドの見方だ。だから俺たちはより深い階層の探索を進めることにした。」

 第三階層くらいなら探索可能な冒険者は多いからね。アレクの稼ぎを見て奮起した冒険者も多いだろうし。

 「魔王亡き後の第十階層も気になるが、他の階層も多くの空白地帯を残していて捨て置くことができない。そこで、各階層で最低一ヵ所は空白地帯の探索を行うことにした。」

 まあ、妥当な判断だと思う。魔王エグバートが何をどう企んでいたとしても、一番怪しいのは最深部の第十階層だ。けれども、第三階層に戦力をプールしていたように他の階層でも何かやっていないとは限らない。

 問題は深い階層にまで潜って探索できる冒険者が少ないことだ。魔法鞄(マジックバッグ)を始めとした装備の良さもあってアレクのパーティーは他の冒険者とは一線を画している。

 現状、第十階層の探索を行うことができるのはアレクのパーティーだけだろう。しかし、同様に深い階層の空白地帯の探索を行うことができる冒険者パーティーもほとんどいないのだ。アレクが特定の階層に専念して探索を行うと他の階層の空白地帯の探索が滞ることになる。

 いくらアレクが優秀でも、単一パ-ティーだけでダンジョンの全てを探索し尽くすのは無理だからね。

 第五階層までは探索を行っている冒険者もいるけれど、その数は限られているし進みも遅い。

 第四階層や第五階層に挑戦したけど、武器や防具を破損して浅い階層でまたお金を貯めているなんて話は良く聞くから、装備さえ整えばより深い階層の探索が可能な冒険者パーティーもあるだろうけど、全ての冒険者に良い装備を提供するなんてこともできないしね。

 「国としては高ランクの冒険者に優秀な装備や魔道具(マジックアイテム)を貸与することも検討しているが、いずれにしてももう少し深い階層の情報が欲しいところだ。そこで俺たちが調査することになった。」

 あ、検討していたんだ、冒険者に良い装備を与えることを。すると、アレクの役割は多くの冒険者が探索するための呼び水となることかな。

 第三階層はこれから多くの冒険者が探索するようになるだろう。地図(マップ)がより正確になり、モンスターの間引きが進めば探索はより安全になり、更に探索が進むようになる。

 より深い階層でも同じように探索が進めば、ダンジョンの全容の解明も進むかもしれない。

 まあ、ダンジョンはそこまで甘くないけれどね。地図(マップ)が正確になって、モンスターの間引きが進んでも、深い階層を探索するにはやはり相応の実力が必要になる。

 いずれにしても、僕たちの次の探索の目標は決まった。第四階層の空白地帯の探索に向けて、準備を進めることにした。


 そういうわけで、やってきました第四階層。

 僕たちが素通りした第三階層も予想通りかなり盛況なようで、新しい地図(マップ)を探索する者、そこからさらに空白地帯の探索を目論む者、その分手薄になった別な場所でモンスター狩りに勤しむ者など様々なようだった。

 逆に、第四階層へ向かう通路にはほとんど冒険者はいないので、僕たちは最短ルートでさっさと第四階層に降りて行ったのだ。

 さて、第四階層にはこれまでの階層にはない特徴が一つある。第一階層から第三階層は迷宮型と呼ばれ、自然の洞窟のような周囲を岩で囲われた通路になっていた。対して、第四階層はフィールド型と呼ばれ、ダンジョン内なのにまるで屋外のような光景が広がっている。

 空を見上げれば太陽のような光源があり、地面には道らしきものはあっても、道から外れることを防ぐ壁は存在しない。

 「まずい、草原エリアだ! アレク、周囲の警戒を!」

 第四階層は地形や環境の異なる幾つかのエリアに分かれている。その中で草原エリアは一面背の低い草が生えているだけの平坦な場所だった。

 何の変哲もない草原はとても見晴らしが良い。それは遠くまで見通せる代わりに、遠くのモンスターからも発見される危険性があった。ここは『ポーターの出口』でおとなしくしていてもモンスターに襲われる恐れのある危険な場所なのだ。

 「分かった! モンスターは俺とカレンで対応する。グレッグは現在位置の確認を、ジェシカは索敵、アリシアはエレノアを頼む。」

 この階層の危険性は説明済みなので、アレクも気を抜いていない。即座に的確な指示を出した。

 僕も急いで現在地を確認する。この草原エリアは、土の地面で壁もない。いくらダンジョンに書き残すことのできるマーカーペンがあっても書き記す場所がないのだ。このため、何番の『ポーターの出口』に出現したのかを正確に確認することは難しい。

 しかし、天井に張り付いた偽の太陽は時間によって位置を変えることがなく、だいたいの場所と方角の推定に使える。また、見晴らしが良い分、遠くの目印や別エリアの地形なども確認することができる。

 「ここは草原エリアの北東部。帰りの『ポーター』は北の山岳エリア、空白地帯は東の砂漠エリアが近い。」

 空白地帯の探索に来たのだから、行き先は東の空白地帯になるのだけど、いざという時に備えて脱出用の『ポーター』の位置も意識しておいた方が良い。

 「よし、東へ向かう。グレッグ、案内を頼む! ジェシカは引き続き索敵、カレンは殿(しんがり)を頼む!」

 アレクはてきぱきと指示を出し、移動を開始する。草原エリアに長居は不要だ。迂闊に戦闘を始めると周囲から次々にモンスターが集まってくることもあるらしい。可能ならばモンスターに出会う前にエリアを出たかった。

 それに、このパーティーならではの問題もあった。

 「ああ、こんなところに魔力草の群生地が! ちょっとだけ、ちょっとだけ採取させて~。」

 ちょっと遅かった。エレノアさんの叫び声が響き渡る。モンスターを呼び寄せかねないからあまり大声で叫ばないで欲しい。

 第四階層には、フィールド型のダンジョンと言う特殊な環境のせいか、珍しい植物が数多く存在していた。中には魔法薬(ポーション)の原料にもなる貴重な薬草などもあり、採取依頼の対象にもなっている。

 第四階層にやって来る冒険者は、モンスターとの戦闘を避け、ひたすら採取に勤しむ場合も多い。まあ、その場合は身を隠しやすい森林エリアで採取するのだけど。

 そして、派手な大魔術が目立つエレノアさんだけど、実は本人は学者肌だった。薬草にも詳しく、自前で魔法薬(ポーション)を作ったりもできるらしい。そんなエレノアさんが採取なんかを始めたら、夢中になって何時間でも採取し続けるだろう。

 そういうわけで、エレノアさんはアリシアさんが小脇に抱えて強制移動。小柄なエレノアさんだけど、アリシアさんも力強いなぁ。


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