第1話
イーズの戦略は完璧で素晴らしかった。皆んなも納得して動いてくれた。そのお陰で準備は順調に進み会社もうまくまとめられて今ここに2000万の兵力が揃った。
「センチ会社、ミリ会社、ミクロ会社、メートル会社、キロ会社、グラム会社、ナノ会社、マイクロ会社。この国に不満があるにも関わらず、街を代表する企業がこれだけ集まってくれたことに、何者でもないボクたちの言葉を信じてくれた事に、感謝しています。今この国は大きな岐路に立たされている。国戦が戦争に変わり、クロノスは国ではなく自社を守っている。この戦いの勝利とはなんだ。クロノスCo.だけが最後に残るのが勝利、ウーティスCo.を潰せば勝利、ボクが望む勝利はそのどちらでもない!そこに犠牲を厭わない者達の勝利のためにボク達は戦うわけではない!戦争の後にこの国は新たに生まれ変わる!!さあ、革命を始めようじゃないか」
ルイスの言葉はその場にいた者達に一つの目的を照らし出した。
「ヴォーーーー!」
「あとは任せた」
ボクはその場を仲間に任せエリスと共にウーティスCo.に向かった。
「私とあなたで本当に大丈夫なの?」
「クロノスはもうウーティスCo.に攻めてる」
「なぜ、クロノスは自社を守ってるじゃないの?」
「守ってるよ。でも攻めなければ勝てない。ボクが得た情報では精鋭部隊を組み今ウーティス側に攻めている」
「どうやってその情報を得ているのよ」
「その指揮を取っている人にこれから会いに行く」
「そう。任せるわ」
「急ごう」
「ここだ」
2人は拠点についた。
「ルイスじゃないか!久しぶりだな!元気してる」
クロノスCo.CSO(最高軍略責任者)のアモールが
声をかけてきた。
「あの時クロノスの隣にいた人じゃない」
「その時は申し訳なかった。本当はルイスや君と話しをしたかったがクロノスさんがいた手前、なにも話さなかった。情けない」
そう言ってアモールは豪快に笑った。
「アモールさんそんな事より状況はどうなの」
「そうだな。今はこのA地点で足止めを食らっているところだ。突破にはあと3時間はかかるだろうな」
「ボクが行けばすぐに突破できる」
「そうだろうな。でも慌てるな。今出ても能力を消耗するだけだぞ」
「時間が惜しい!」
「お前だけが焦っても戦況はあまり変わらない。よく分析するだ」
「あなたさっきから少し焦ってる。少し落ち着いたら」
ボクは深呼吸をした。
(焦っていた。時間ばかりを考え、早く攻め少しでもクロノス側を守る仲間たちの負担を減らそうとしていた。落ち着け、信じろ。ボクが潰れてはそこで作戦は終わりだ)
「落ち着いたみたいだな」
「作戦を教えてください」
「いいだろう!まずこちらの戦力から。力の能力者1万と1人、知恵の能力者1万と1人。人造人間が1000万。覚醒者はルイスお前だけだ。力と知恵の2万は騎馬隊になる乗るか」
「一機借ります」
「壊すなよ」
「その時は買い取るよ」
「お嬢ちゃんはいるかい」
「私はあるので大丈夫です」
「気が強い子は嫌いじゃないよ〜」
「アモールさん、どのぐらいで墜とせそうですか」
「気が早いねー。ま、でも2日あればウーティスCo.に辿り着く。勝敗はまだわからない」
「ウーティスとはボクがやります」
「強気だねー。ならルイスに任せるよ。好きにやれ」
「なぜクロノスの幹部がそこまで協力的なんですか」
「そうだよな。今のクロノスさんを見れば不思議に思うよな」
「はい、ハッキリ言って信用出来ません!」
「すまない。どうやら君の心に傷をつけてしまった様だね。信用はしなくてもいい。ただルイスの力になりたい。それは本心だ」
「あなたは人たらしね」
エリスがボクの方を見てそう言った。
「アモールさんがいると心強いです」
「それは嬉しい言葉だな」
そう言ってアモールさんはまた豪快に笑った。
「報告致します!A地点予定より早く突破でき、そのままウーティスCo.に向けて進軍を進めております!」
「早すぎるな。A地点の敵軍は引いたということか」
「はい!全軍引いて行きました!」
「なるほど。こちらの軍も1度引かせろ。それと周りの街へ情報収集に迎え」
「承知しました!」
「どう考えても今が攻め時でしょ。情報収集している場合」
「お嬢ちゃん。戦場では焦った方が負けなんだよ。常に最新の情報を持つこと、それはこの先の勝敗に大きく関わってくる」
「見た目と違い慎重なのね」
「報告致します!」
「またなの」
「クロノスCo.が攻撃を受けています!」
「どこから進軍してきた」
「海側から進軍してきた模様!国境側からの進軍は無し、ウーティス軍とユリシーズ軍それとクロロス軍が海側から進軍してきています!」
「二国が支援するとは、本気だな。それにしても早すぎるな。俺たちはルイスからの情報を得てすぐにこの地に来た。その時にはすでにウーティス軍が守備を固めていたのも気になったが。ルイス、利用されたか」
(わざとエリスと接触させ政府のアジトを教え、そこにいた息のかかったアノルドの後を追わせ、戦争が起こることに気づかせクロノスの耳に入るようにした。そしてクロノスの全勢力が集まる機会を作った。やられた)
「そうみたいです。この戦争は政府とウーティスCo.が手を組み共にクロノスCo.を潰すためのもの。まんまとやられました」
「過ぎたことは仕方がない。俺たちはこのままウーティスCo.を攻める。お前はどうする」
(このままだとクロノスは負け、革命はできない。それに利用されぱなしってわけにもいかない)
「仲間を連れてウーティスCo.に進軍する。トリスタンに状況を説明し5人でこちらに向かうよう連絡してくれ。その他の会社はクロノスCo.に向かい、少しの間死守するよう、作戦を変更するが目的は変わらないとそう伝えてくれ。頼んだ」
「承知しました」
「到着まで1日ってとこか。ま、クロノスCo.はあと一週間はもつだろうから。時間はある」
「わかりました。すいません少しこの場を離れます」
「ちょっとどこ行くのよ」
「1人にしてやりなよ」
「なんなの。クロノスCo.が攻められてるのに冷静でいる人といい。『自分1人の責任だ』みたいな顔している人といい。変だよ」
「冷静ではないよ。今にでもクロノスCo.に飛んでいきたいと思ってる」
「そうすればいいじゃない」
「1人の時はそうしてただろうな。でも今はこの軍を任されてる立場だ。トップの人間が冷静さをかけば、下の者の不安を煽ることになる。ここに立った以上、大事なのは部下の命。会社は会社にいる者に託すのが必然。1人で全部は守れない。だから仲間を信じてここに残る。信頼しているからこそ攻めていける」
「貴方みたいな上司がいたら、いい部下が増えそうね」
「嬉しいこと言うね」
アモールは豪快に笑った。