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逆さ虹の森

 お読み頂きありがとうございます

 川に落ちてしまう、と思ったミウちゃんですが、ちゅうに浮いています。ケンちゃんがミウちゃんの右手を両手でつかんで助けてくれたようです。


 ところが、ミウちゃんとケンちゃんはゆっくりと下へ落ちていきます。ケンちゃんの足もつり橋にはなく、二人で空中に浮かんでいました。このまま行くと川の中へ落ちてしまうでしょう。ミウちゃんは泳げません。ケンちゃんはどうでしょう。


 ミウちゃんは一生懸命で空中を、あいている左手でかきます。そんなことをしてもどうにもなりませんが、この時は少し動くことができました。ケンちゃんも真似をして、左手でミウちゃんの手はつかんだまま、右手でちゅうをかいています。川の中へ落ちるのは嫌ですから、二人で川の浅瀬か岸の方へなるべく近づこうとしています。水の中へゆっくりと沈んでいくような感じでした。このスピードなら安全に着地できそうです。


 ケンちゃんは先に川原へ降り立つと、にっこりと笑って、少し間を置いてからミウちゃんの手を離しました。慌ててケンちゃんの手をつかもうとしたミウちゃんですが、ケンちゃんには届かず空振りしました。あっと言う間にミウちゃんは、ゆっくりと凧みたいに空へ昇っていきました。まるでケンちゃんが風船の重りで、ミウちゃんが重りの外れた風船のようでした。ケンちゃんは川原で両手を振っています。ミウちゃんも手を振り返し、ケンちゃんを呼びますが、もうどうしようもありません。ゆっくりと川もつり橋も、森も離れていきました。ケンちゃんももう見えなくなりました。


 ミウちゃんは森の上にU字形に虹がかかっているのを見つけました。おかしな虹です。ミウちゃんが地面の方へ頭を向けて、逆立ちの逆向きになると、普通の虹の形に見えます。そして、ミウちゃん自身は足元の、空の方へゆっくりと落ちていきます。ミウちゃんも何がなんだかわからなくなりました。おかしな世界です。


 ミウちゃんは森で出会ったどうぶつ達や、ケンちゃんのことを考えました。ドングリ強盗のアライグマ、助けてくれたキツネさん、ドングリを拾ってくれたクマさん、ドングリをくれたリスさん、卵を上げたヘビさん、歌の上手なコマドリさん。コマドリの歌も思い出しました。ミウちゃんは歌ってみました。



 森の大きな池は底まで見える澄んだ水


 ドングリ池にどんぶりこ


 ドングリ入れてお願いすれば


 どんな願いもかなうかな



 大きな森の木 大きな根っこ


 ボコボコごつごつ静かな広場


 でも森の木は動いてる


 音をたてないようにそおっと


 気付かれないようにするする


 じっと話を聞いている


 嘘つき悪い子は捕まるよ



 大きな川にかかるぼろぼろボロ橋


 鳥のわたしにゃいらないが


 わたのようなわたしもうっかりとまれば


 それだけでもう落っこちそう


 誰か直して下さいな



 ミウちゃんはケンちゃんを嫌いだと言ったので、森の木の根っこに捕まりそうになったのかもしれません。ケンちゃんとミウちゃんが一緒に落ちたつり橋も、歌にでてきています。


 ミウちゃんはできるかぎり大きな声で、ケンちゃんに呼びかけました。もう森もはるか下ですが、ケンちゃんは聞こえたでしょうか。


 ミウちゃんは空に昇りながら、眠くなってきました。たくさん走って、怖い目にもあいましたから、疲れたんでしょう。でも、こんな空の上で寝たらどうなるかわかりません。ミウちゃんも必死で起きていようとしました。それでも、どうしても眠くて仕方ありません。何度も寝そうになっては目をあけて、ということを繰り返しているうちに、ついに眠ってしまいました。


 ・・・


 ミウちゃんは病院のベッドで目を覚ましました。ネコの耳やしっぽは無くなっていました。お母さんがベッドのそばにいて、大喜びしました。


 ミウちゃんは友達と遊んでいて車にはねられ、飛ばされて頭を打ったそうです。ミウちゃんの前を走って逃げていたケンちゃんは車にひかれました。ミウちゃんは大人になって、子供ができて、その子供も大人になってから、この話をしたそうです。


 逆さ虹という設定から思い浮かんだ後ろの方からできた話です。


 キツネがケンちゃんに化けているとか、ケンちゃんがミウちゃんにこの世界で一緒に暮らそうと提案してくるのを断るとか、実は狼がシャーマンでケンちゃんの生霊いきりょう憑依ひょういさせていて、ミウちゃんが現実に帰るとケンちゃんも森での出来事を覚えている、等の話も考えていましたが、結局こういう話になりました。ケンちゃんが何も言わない、というところからこういうオチになったと思います。基本的にこういうのはハッピーエンドがいいとは思います。


 空に落ちていく、というのが説得力なさそうだと思ったので、その前の追いかけっこのところで、ミウちゃんが、まるで体重がなくなったようだった、というのを入れたりしていますw ドングリ池でお願いしたからか、そもそも現実に帰る運命だったからか、次第に森の重力から離れていっている、という・・・ もちろんネコだから木の上を走るわけですが


 環天頂アークは知りませんでした。カメラブームと関係ありそうですね。それっぽい写真も見ましたが、実際見ても虹だと思わないのもありそうです


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