最終話・水族館デート
まだ夢心地。
誰かが私を揺すっているようだ。
んーまだ眠い。起きたくないよ。
ユサユサ…ユサユサ愛花……愛花ちゃん!
しつこいなぁ…ママかな?
「んー……なぁにぃ~?まだ眠いんだけど。」
私はあくび混じりにそう告げた。
そうすると揺すっている人物から返事があった。
「俺だよ。駿。今日デートの約束してたんですが!」
「んー駿くんね。」
私はモゴモゴというと、また夢の世界へ引き込まれていった。
また、誰かが揺する。もー眠いんだって!
「今日行かねぇの?水族館。楽しみにしてたじゃん」
水族館???
さっき、駿っ言ってた?????
あぁもしかして寝坊かも!
私はガバリと起き上がった。
「もー寝起きわるいなぁ……おはよ」
駿くんが呆れたようにそういった。
「おはよう。水族館、行くよ!行くから準備する‼待ってて」
「はいはい、じゃ俺部屋の外で待ってるわ。着替え終わったら呼んで」
「んー」
私は昨日選び抜いた服に着替え始めた。
「できたよー!」
私は勢いよくドアを開けた。
すると彼はドアの真ん前で待っていた。ドアが急に開いてビックリしたのか驚いたような表情をして……
「あっ……服可愛い。似合うよ。」
私はチャックのシャツ風のワンピースを着ている。ちょっと大人っぽく見えるように黒色にして、小さめの斜めがけバックを下げている。
「でしょー?」
「あれ?もしかして、初めて着る?」
「えへへ(^ー^)ばれた?」
「だよね。見たことなかったから。準備も出来たことだし、行きますか!」
「おー!」私は拳を上にあげた。
「愛花ちゃんのお母さーん!愛花ちゃん借りていきますねー。5時までには戻りますから」
俺は廊下から、リビングにいるであろう愛花ちゃんのお母さんに声をかけた。
「ママいってきまーす!」
愛花ちゃんも俺の真似してリビングに声をかける。
「はい、はい、行ってらっしゃい。二人とも気を付けてね」
そう言いながら、愛花ちゃんのお母さんは俺たちの見送りにきてくれた。
「はーい!」
二人は元気よく返事をして玄関を出た。
「さっ、恋人なんだし手繋ごうか!」
俺は、んっと愛花ちゃんの方に手を差し出す。
「えっ…」
愛花ちゃんは、照れてしまったようだ。
「ほーら、手。」
俺は差し出した手とは反対の手で、やや強引に愛花ちゃんの手をとると、自分の手と繋がせた。
「はい、しゅっぱーつ!」
二人で歩いてバス停まで向かう。
バスが来るまであと少し時間があるようだ。
唐突に駿くんがニヤリと笑って私をみた。
「あーそういえば、俺をくんづけするの禁止で。俺も愛花って呼ぶから」
「えー!?いきなり!?」
私は驚きのあまり大きな声になってしまう。
「こういうのは勢いとノリが必要なんだよ。」
「えーでも…」
「はい、呼んでみてよ!あ・い・か‼」
「しゅ……駿」
「はい、よくできました。」
駿がここぞとばかりに頭を撫でる。
私はそれだけで赤くなってしまった。
「あーバスきたきた!乗ろっ愛花」
駿は手を引いて私をバスにのせた。
「あー楽しかったね。」
愛花が楽しそうに呟く。
「そうだな。」
俺も楽しかったことを伝える。
二人とも自然と笑顔になっていた。
「カクレクマノミ、かわいかったなぁ」
愛花は可愛さを思い出しているようだ。
「愛花、カクレクマノミの所にずーといたもんな。」
「うん!可愛くてずーと眺めてられる。」
「そうだな。」
俺は可愛いのはお前だろ!と言いたくなる。だが、そこは堪えることとした。
「そんな、楽しかったならまた行こうぜ」
「ほんと!?やったー」
愛花はとても嬉しそうに笑う。
「うん。約束な。」
「うん。約束!」
愛花は、嬉しそうに笑い俺に小指を差し出してくる。
俺はその小指に自分の小指をからませた。
そして、いつかのように二人で歌う。
ゆびきりげんまん 嘘ついたらはりせんぼんのーます!ゆびきった!
「何かさ、前にも同じことした気がするんだよな。俺らってずっとこんな感じでやっていくんだろうな」
「うん。もちろん、ずーと仲良しで、だよ。」
「そっか、ずっと仲良しならずっと一緒
いれるよな。」
ーーーーーENDーーーーー
『3年後の想い』を読んでいただきまして、ありがとうございます。
予告していた通り、今日で完結とさせていただきます。
皆さんに少しでも駿や愛花が身近に感じられたなら、いいなと思います。
1ヶ月という短い期間にはなりましたが、読んでいただけて本当に嬉しかったです。
ありがとうございました。
また、小説は書いていくのでまた違う作品でお会いしましょう!




