懐かしい出会い
こざくら…あいか?
……愛花ちゃん?
俺は信じられない思いで黒板の前にたつ転校生を見つめる。
俺が知っている愛花ちゃんは、髪がショートカットで小さくって… でも俺らと走り回って遊ぶような男勝りな女の子だったのだが……
目の前の 転校生は綺麗に手入れされたような髪を肩ぐらいまで伸ばし、雰囲気も何だか女の子らしかった。
同姓同名か?と思って、よくよく見ると彼女には愛花ちゃんの面影があった。
あのクルンとした大きな瞳、顔立ち……やっぱり、愛花ちゃん?
俺がウジウジと考え込んでいると彼女が口を開いた。
「初めまして。……じゃない人もいるとは思うけど……小桜愛花です。1年生の頃に転校してまた戻ってきました。よろしくお願いします。」
彼女は、ペコリと頭を下げる。
俺は礼儀正しい女の子になったのだなと感心して眺めていた。
転校初日。
ドキドキするが、ワクワクや嬉しさがそれを上回っていた。
久しぶりに駿くんに会える……
駿くんはどんな風に成長したのだろうか?
「今日からここが貴女のクラスね」
先生が教室のドアの前でそういった。
6年4組。さっき校長室で先生が広げた出席簿をチラリと盗み見した。このクラスには、彼もいるらしい。
ドクドクと胸が高鳴る。
先生がガラリとドアをあける。
「はーい。朝の会始めるから席についてー。」
皆ガヤガヤと自分の席についた。
しかし、ガヤガヤは鳴り止まない。
「えーあの人だれ?」
「うちのクラスの子じゃないよね?」
「もしかして、前言ってた転校生?」
ガヤガヤガヤガヤ……
「はーい!しーずーかーに!日直さん号令!」
「起立!」
ようやく、ガヤガヤが静まり朝の挨拶を終えることができた。
ふっと視線をあげた先に私の視線は吸い寄せられた。
切れ長な瞳、さらっとしたネコ毛の髪。何となく、初めてあった気がしなかった。まるで、ずっと会ってなかった親友に会ったような懐かしさが込み上げてくる。
彼は、すこしつまらなさそうに窓を眺めている。
しかし、先生が私の名前を口にするとそのつまらなさそうな顔が驚いたように固まる。
きっと彼が駿くんだ。思ったよりイケメ……。
「じゃあ、小桜さん。皆さんに挨拶をお願いします。」
これ、はやく終わんないかな?私は駿くんと話したいのに……




