ともはるのくせに生意気だ。
「さて、いつまでもこうしてるわけにもいかないしな。」
そういい俺は、雪の頭から手を離して歩き始めた。
しばらくして俺たちは暗くなり始めた空を見て
野営の準備を始めた。
準備と言っても草原から枯れかけている木を探してそれを摩擦熱を利用して火を起こすという単純な作業だ。
口で言うのは簡単だがわりと疲れた。
ライターがある現代っ子の俺たちに火起こしは重労働だった。
火が消えないように。
そして、夜にモンスターに襲われないように。
俺たちは交代で寝た。
睡眠というのは大事だ。するのとしないとでは翌日の仕事効率に大きく差が出てしまう。
それを防ぐために交代の睡眠だ。
明日から本格的にこの草原を出るために動かなければならないからだ。
何事もなく俺は
3回目の眠りについた。
その直後に珍しく雪が慌てた表情でこう言った。
「黒。起きて。きんきゅーじたいだよ。」
「雪、どうした?」
そして雪はある空間に向かって指を指し
「あれ、なんだろう。」
そう。その空間は雪の時と同じく
ビキビキと音を立てて中から金髪のがたいのいい
男がでてきた。
そして投げ出された。
俺は思わず
「ふぅ。最善への道がまた一歩近づいたな。」
そう呟いた。
その言葉に雪も
「あぁ。あの金髪はあれかぁ。」
「痛い...ここは?」
俺はいつものようにどついた。
「よっともはる。やっと会えたな。」
俺はにこっと笑った。
ともはるははっと目を開き、
「その腐った目。そのくそいてぇどつき。そしてそのうすら寒い笑顔。間違いねぇ。お前はくろだな。そしてそこの冷たい目をした白女は雪か。異世界きても変わらないのかよ。」
ははっと朗らかに笑う。
くそ。なんだこいつ。
こんな異常事態でもこの態度を崩さないか。
流石だな。
ともはるのくせに生意気だ。