雪のスキル
「そろそろいいや。」
「わかった。」
そういい俺はそっと雪から離れる。
雪のおかげでだいぶ落ち着いたようだ。
やっぱり雪がいないと俺はだめだな。
改めてそう思った。
そういえば確認しなければならないことがある。
それは雪のスキルと俺のレベルアップしたスキルについて。
そして俺たちの身体能力だ。
500ｍ先のものが見えるというのは今までの生活では考えられなかったし、元の身体能力のままだったら攻撃も効かずゴブリンとの戦闘で死んでいた。
おそらく腕力や体力、脚力など全体的に強くなっているはずだ。
さっきみたいな無様な戦闘をいつまでも続ければ間違いなく
俺は死ぬ。
そうならないように雪と俺のスキルの確認と身体能力。
これが今すぐしなければならない事だと俺は思う。
とりあえず俺からだな。
頭の中に刻み込まれるような感覚をレベルアップ時に味わった。
そのときにスキルのレベルアップでできることはもうわかっている。
調べるのは実用性があるのかということだ。
ではそろそろやってみるか。
「我に刀を。メイク！」
詠唱がすみ、手に刀が具現化する。
そうだ。レベルアップで剣の種類を選べるようになった。
ゴブリンとの戦いでは慌てすぎて剣が変わったことにすら気付かなかった。これではだめだな。
元々は剣というカテゴリーでランダムに出てきたのだから
作れる剣が選べるというのは十分に
「使える」
思わず俺はそう呟いた。
次は雪のスキルの確認だな。
「待って黒。」
スキルの確認をする前に雪があることを言った。
「銃とかは作れないの？」
俺は苦笑しながらもっともな意見だと思った。
だが答えは
「NOだよ雪。今の俺に銃は作れない。そもそも剣以外俺は作れないんだ。」
恐らくスキルレベルのせいであろう。
こっちの世界に来たときに頭に刻み込まれたスキルの説明。
それは
「ものを作ることができる。ただしスキルレベルによって作れるものが制限される。」
ということだ。他に防具とか小物とか作ろうと思ったが作れないことが感覚的にわかる。
「不便なスキルだろ？」
「いいや。今のところ黒以外に武器を入手する手段がない。この世界では必要になるんでしょ？」
雪はまだモンスターを見ていないはずだが。
憶測に過ぎないが雪を担当した神が徹底的に説明したのであろう。
話が早くて助かる。
「雪。これから俺たちは助けあって生きていくことになる。そのために雪のスキルを教えてくれないか？」
「もちろんいいよ？雪のスキルはオーバーっていう。」
オーバー。新たなスキル。
「どんな能力なんだ？」
「どんなものでも倍率がかかる。スキルレベルによるけど。ちなみに今は1.5倍だよ。」
すごい能力だ。俺の作った剣の切れ味を1.5倍にするとか、傷の回復速度にオーバーを使うとか、思いついただけでいろいろある。
切れ味の話だが、例によってスキルレベルによって切れ味も変わる。今はちょっと切れる包丁くらいだ。
「雪のスキルすごいな。これから頑張っていこうな」
そういいおれは真っ白なら雪の頭をそっと撫でた。
「うん。」
嬉しそうに目を細める雪が愛おしかった。
