スキル付与
俺、黄金黒は、異世界転生系の小説がわりとすきだ。
この白い部屋に来る前に教室で読んでた本も異世界転生もののラノベだった。
だからこそわかる。
この女の行動で俺たちの運命は決まる。
様々な根拠があるが、まぁいい。
とりあえずこの女の目的を聞き出そう。
一呼吸おいてから俺は言った。
「なんの目的があって俺たちを殺したんだ。」
その女はほぅ、と呟き、口を大きくあけて笑いだす。
「なんだお前。今までのやつらとは少し様子が違うな。もっと慌てふためいて手を焼かせると思っていたぞ」
そしてその女は深く深く腰をおったおじぎをして
「我たちを救い出して欲しい。これがお前達を殺してこちらの世界に呼んだ目的だ。」
いきなりの態度の豹変に少し驚いたがこいつの目的はわかった。
なるほど。まぁ許容範囲だ。
おそらく封印かなにかされてるんだろ。
態度も下手からででくれたし、まぁ美人だし、元いた世界に
未練があるわけでもない。
「いいぞ」
俺はそう答えた。
「ほぅ。ほんとうに面白い。動揺も見せないか。」
「あんたたちにとってこれが最善の選択だったんだろ?なら仕方ないさ。俺は俺の最善のために生きる。そのついでに約束を果たしてもいいと思っただけだ。これから俺たちはどうなる?」
「ふっ、粋な男よ。これからお前らにはスキルと呼ばれる能力を一つずつ授けていく。そしてそれが終わったらお前らをこことは別の世界に飛ばす。」
俺の最善は雪とともはるを必ず守ることだ。
そのついでに約束を果たす。
ん?そういえばやけに静かだな。
あたりを見まわすと
周りには時が止まっているように動かないクラスメイトたちがいた。
「女、なぜ皆は動かない?」
「いつまでも女呼びは腹が立つな。そういえばまだ名乗ってなかったな。」
そういいその女は俺の目を見る。
「私の名はクロノス。時の神だ。今周りのやつらには別の神々が話を始めているから精神は別次元にいる。体が動いていないだけだ」
まさかの1人1神システム。
神からスキルもらえるのな。
「あぁ、そういえばお前にまだスキルをやっていなかったな。そろそろ付与しなければならないかな?」
内心やばい。この時にもらえる能力でこれからの全てが決まる。
どんなのがスキルがもらえるのか。
俺は年甲斐もなく、すごくどきどきしてきた。
「では、ゆくぞ。かなりの痛みのため心得ておけ。」
「わかった。」
注意をおえたクロノスは言う。
「我。汝の糧になることを誓わん。ステルステイク!」
その瞬間。
「ぎゃああぁぁぁああぁぁぁぁあぁぁ!!!!!!」
この世のものとは思えない身体の痛み!
全身が千切れるように痛い!
やがて、その痛みが収まると脳内に音が響く。
「スキル:メイクを獲得しました」
「スキル:クロックを獲得しました」
「なぜだ?なぜこいつにはスキルを二つも..?まぁよい。これなら我たちを救えるはずだ。頼むぞ黄金黒。」
どうやら俺はスキルを獲得したようだ。
そこまで考えて、俺は意識を手放した。
別に元いた世界が嫌いなわけでも好きでもなかった。
つまらない日々。
矮小な自分。
変わらない世界。
少しでも変えたかった。
それが叶ったのだ。
これから俺は新しい人生を始める。