神の土下座と異世界クロスワールド
初投稿です。よろしくお願いします
「すまない」当たりを見回すとハゲたジジイが土下座していた。
どうしてこんなことになったのだろう…
『五木圭』それが俺の名前だ。今年、家の近くの公立高校に入学した、成績は上の下、運動神経も普通、顔は中の上くらいの特に主張する事のないフツメンだ。強いてあげるなら、少しオタクだが今時珍しいことでもない。
確か俺は学校で日直を仕事として、先生に教室の鍵を閉めるように頼まれて、そこで教室に居たクラスメイトに帰るように言った後、いきなり床が光って…
そして冒頭に戻る。ハゲたジジイは土下座を止めてこう言ってきた。「君は異世界に行ってもらうことになる。」
「はあ?」意味が分からない。いきなり土下座をしていたのも意味が分からないし、その後の異世界に行くとか頭がおかしいとしか思えない。
「お主も私が何を行っているのかよく分からないと思う。だからまず、私の話しを聞いてほしいのじゃ。」
「ああ」何が起きているのか分からないが今この状況を説明してくれるのなら話しを聞こう。
「まず此処はお主達でいう天界だ。そして私は異世界クロスワールドという世界を管理している神だ。」
はっ?信じられない。天界だとか神だとか正気か。まだドッキリだとか誘拐だとかの方が信ぴょう性がある。
「まぁ、いきなりこんなことを言われても信じられない事は分かる。しかし、お主は残念なことに異世界クロスワールドの人間達がおこなった勇者召喚に巻き込まれて、異世界クロスワールドに転移する事になった。」
段々、理解してきた。コレは小説等でよくある異世界転移だろう。まさか本当にこんなことがあるなんて思いもよらなかったが、神?とやらが土下座で現れた以上悪いことにはならないだろう。
「分かった。今の状況は理解した。だからどうしてこうなったのか、そしてこれから俺はどうすればいいのか説明してくれ。」
「分かった。しかしお主意外と切り替えがはやいのぉ。普通こんなことを言われたら、おかしいと思うじゃろうに。」
「特に理由はない。唯俺がオタクと呼ばれる人種で最近、異世界転移や転生モノの小説を読んでいただけだ。」
「そうかのぉ、それにしてもはやすぎると思うがまあ良いか。まずお主は異世界クロスワールドで魔王を倒すために行われた勇者召喚に巻き込まれた。本当はあの時、教室に居た四人のクラスメイトを呼ぶだけだったのじゃが、魔法陣に入ってしまったことにより、巻き込まれてしまったんじゃ。」
「へぇ、じゃあなんで俺は此処にいるんだ。他の勇者達は居ないけど。」
「それはお主が巻き込まれてしまったからだ。勇者達が召喚されるのはこちらでそうなる様に仕組んだからじゃ。」
「ちょっと待ってくれ。仕組んだってどういう事だ。」
「そうか、それを説明しんといかんな。まず私は神と名乗ったが、役割的には天使と似たようなものじゃ。
私は異世界クロスワールドを管理しているが、他にも神は一つの世界に1柱が必ず管理しておる。しかし、管理の仕方によってはその事を知らない世界もある。お主達の居た世界もたくさんの宗教があったじゃろ。そういう訳で神はたくさんいる。
しかし私達よりも上位の神がいる。それが創造神達じゃ。創造神達は私達管理者を創ったり、世界を創ったりしている。そして自分達の創った世界を見て楽しんでいるのじゃよ。」
「それでその話が勇者召喚を仕組んだ事とどう繋がるんだ。」
「創造神達は創った世界を見ていると言ったじゃろ。異世界クロスワールドは剣と魔法をコンセプトにして創られた世界でそれを見て楽しむためにイベントとして、魔王を創造し、異世界の者達を勇者として召喚する事にしたんじゃよ。」
へぇ、まるでゲームを作るみたいだな。
「じゃあどうして俺が巻き込まれたんだ?」
「それは私が神託をして魔王に対抗する為に勇者召喚の魔法陣を用意したんじゃがその魔法陣の中に居る者を転移させるという事になっていたんじゃ。だから魔法陣が発動した時にその場に居たお主も転移する事になってしまったんじゃ。
出来れば元の世界に送り返してやりたいんしゃが、転移する魔法陣を創るのに私の力の殆どを使ったせいで送り返すことが出来ないんじゃ。今此処に呼んたのはこちらのせいで巻き込まれたお主に事情を説明するためじゃ。本当はクロスワールドの知識を知ることのできる道具を魔法陣と共に渡したからそれをお主にも渡したいんじゃがもう無くてのぉ。本当にすまない。」
「そうか。此処に来るまでの大体の事は理解した。俺は別に異世界にとばされる事についてはそこまで気にしていない。だから、次は異世界クロスワールドがどんな世界なのか説明してくれ。」
「分かった。異世界クロスワールドはさっきも言ったように剣と魔法の世界じゃ。魔物がおり、王族や貴族、奴隷といった身分制度のある所じゃな。そして科学ではなくて魔法の発達した世界じゃ。」
やっぱりそういう世界なのか。冒険者とかもいたりするんだろうな。
「そして、この世界ではレベル、ステータス、スキル、称号、ジョブがある。
レベルは様々な経験を積むと上がりステータスが上がったりスキルを覚えたりする。
ステータスは自分の残り体力を示すHP、自分の体内魔力を示すMP、筋力値を示すSTR、防御力を示すVIT、素早さを示すAGI、魔法抵抗を示すINTがある。
スキルは剣術等があり、スキルを取得すると剣術なら剣の扱いが上手くなる。スキルを取得したり、スキルレベルを上げるには剣術なら剣を振ったり、剣で魔物を倒したり、スキルに関係する行動をとる必要がある。スキルは誰にでも覚えられるが、向き不向きがあり覚えるのにかかる時間や経験値のたまりやすさに個人差がある。
称号は偉業を達成したり、ある特定の行動を行うとステータスウィンドウに表示される。そして称号にあった効果が付く。
ジョブは自分がついている職業がステータスウィンドウに表示される。まあこんなところじゃろ。何か質問でもあるか。」
「HPやMPの回復力はずっと一定なのか?それとHPが高くても首を斬られたりすれば一撃死するのか?」
「HPやMPの回復力はレベルが上がるごとに上がってく。首が斬られたりするなどの致命傷を負えば一撃死もあるし、出血が続けば体力は減っていくぞ。後、この世界でも蘇生魔法はないぞ。死んだらそこで終わりじゃ。」
「そうだ。魔法は俺にも使えるのか?」
「ああ、魔法は誰にでも使えるぞ。魔法は魔力を引き換えに起こすことのできる現象じゃ。
起こす現象の規模や難しさによって必要な魔力は増える。だから魔術や火魔術といったスキルはない。系統といった縛りはないから魔力さえあれば望む事ができる。
しかし、魂に関する事だけはできないがの。
魔法を使うのに必要なのは魔力とどんな事をするのか決めるイメージ力じゃ。イメージ力を補うために詠唱を行う事も多いが別になにも唱えなくても魔法は発動できる。
そして、魔法を使うことに慣れれば慣れる程、魔法を使うのに必要な魔力が減るんじゃ。」
ふむ、魔法にはスキルなどはいらないのか。
「よく分かった。それで常識や言葉などはどうするんだ?」
「すまんがクロスワールドの常識を説明しとる時間はないんじゃ。此処にお主を連れて来ているのにも少しずつじゃが力を使ってるんでの。
言葉については気にしなくていい。召喚の魔法陣に翻訳の魔法もつけておいたから、どんな言葉や文字も違和感なく読み書きや聞いたり、話したりする事ができる。」
ほお、便利だな。
「最後にこんなことしか出来んがお主にスキルを五つだけさずける。
一つ目は『鑑定』。これは見たものや人、生き物の詳細を知ることができる。レベルが上がれば色々の物を鑑定できたり、より詳しい事を知ることができる。
ちなみにスキルを発動するのは念じるだけでいい。魔力などは使わんでも使うことが出来るのがスキルのいいところじゃ。
しかし、魔力を使って起こした現象を何度も使えばスキルを取得出来ることもある。
それが二つ目の『身体能力上昇』じゃ。これは魔力を体に送る事で身体能力を上げる魔法を使い続けると取得出来るスキルじゃ。これはスキルレベルが上がる程身体能力も上がる。
三つ目は『索敵』。これも元々は魔力を飛ばす事で周りを知ることの出来る魔法から取得出来るスキルじゃ。レベルが上がれば、索敵範囲が広がる。
四つ目は武器術。これはどんな武器でも使う事のできるスキルじゃ。剣術などの特定武器を扱えるスキルより効果は劣るが武器術とは別に剣術なども覚えられるので問題ないじゃろ。
これと身体能力上昇、索敵はパッシブスキルといって常時発動しているスキルじゃ。
最後に『隠蔽』。これはステータスウィンドウの内容を『鑑定』スキルや魔道具で見られた時にその情報をごまかす事のできるスキルじゃ。
スキルを隠したりする事は出来るが、持ってないスキルを持っている様にごまかしたり、ステータスを高くごまかす事は出来ないので気をつけるんじゃ。」
マジか。何にもしてないのにスキル五つも貰えるなんて。「ありがとう。おかげでクロスワールドでの生活も何とかなりそうだよ。」
「いや、本当にすまんかった。本当なら命の危険が少ないあの世界から、こんな危険な世界に連れて来てしまったのにこんな事しか出来なくて。
せめてお主のクロスワールドでの生活が楽しくなるように祈っている。そろそろ時間じゃ、お主をクロスワールドへ送るぞ。」
「ああ、ありがとう。じゃあな。」